本研究は“健康な自己愛”がどのようなものであるか検討することを目的として行われた。第1に自由記述調査や、行動観察と面接調査などによって探索的な概念化と検討を行った。第2に質問紙調査を行って、自己価値欲求を脱中心化する方略の一つとなりうるユーモアについての調査を行った。第3に、健康な自己愛の対照概念としての病理的自己愛を測定する新しい尺度の邦訳版を作成した。第4に自己愛の諸形態と就職活動の進め方等との関連の調査を行った。第5に、自己価値欲求の脱中心化が実験操作によって生じうるか、その効果の検証を行った。以上から、健康的な自己愛に関してその特徴が考察された。
|