研究課題/領域番号 |
24730588
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研究機関 | 宮城学院女子大学 |
研究代表者 |
友野 隆成 宮城学院女子大学, 学芸学部, 准教授 (80469080)
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キーワード | 曖昧さ耐性 / 抑うつ / 素因ストレスモデル |
研究概要 |
本研究は、積極的に曖昧さに耐えられることが抑うつの抵抗要因となりうるかを検討することを目的としている。そのために、項目内容をすべて曖昧さに耐えられることを表すものにし、さらには曖昧さを現在直面しているものと将来的に直面する可能性があるものという時間軸を取り入れた新しい尺度の開発を、平成24年度に行った。 平成25年度は、まずは昨年度に報告した新しい曖昧さ耐性尺度の信頼性および妥当性の一部の検討に関する分析結果について、ISSID2013で発表を行った。 次に、そのデータで支持されなかった曖昧さ耐性尺度の時間軸設定について、異なる観点からの検証を試みた。「将来に関する曖昧さ耐性」「現在に関する曖昧さ耐性」という時間軸を設定した2種類の尺度得点をあらかじめ算出し、特性不安に与える影響を男女別にパス解析によって検討した結果、男性においては「現在に関する曖昧さ耐性」のみが、女性においては「将来に関する曖昧さ耐性」のみが、それぞれ特性不安に負の影響を与えていることが示された。これらのことから、統計的には疑問符が付くものの、新しい曖昧さ耐性尺度の時間軸設定について一定の意義が示唆された(日本パーソナリティ心理学会第22回大会で発表済)。 そして、新しい曖昧さ耐性尺度の更なる妥当性の検討を行った。類似した概念である不確実さ不耐性・二分法的思考・対人場面における曖昧さへの非寛容・曖昧さへの態度との関連を検討した結果、いずれも予測された方向の有意な相関が示された。これらのことから、新しい曖昧さ耐性尺度の更なる妥当性が示唆された(日本社会心理学会第54回大会で発表済)。 なお、本研究の最も大きな目的である曖昧さ耐性と抑うつの関連を検討するための基礎データを収集した(現在分析中、平成26年度発表予定)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は、新しく作成した尺度を用いて、曖昧さ耐性と抑うつの関連性を検討することを1つの目的としていた。新しい曖昧さ耐性尺度の時間軸設定に関する議論が長引き、曖昧さ耐性と抑うつに関するデータを一度しか測定することができなかったが、尺度作成が遅れることはあらかじめ織り込み済みであった。また、当初予定していなかった付加的検討で新たな発見が得られたことは収穫であったため、平成26年度の研究を進めるための起爆剤となり得よう。よって、平成25年度は「おおむね順調に進展している。」と判断できよう。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、新しい曖昧さ耐性尺度の再検査信頼性を検討しつつ、曖昧さ耐性と抑うつとの関連性についての縦断データを測定する。そして、平成25年度に実施した調査の分析結果を、国内外の学会のいずれかで発表を行う。具体的な発表先として、「International Congress of Applied Psychology(Accept済)」「European Conference on Personality(Accept済)」「日本パーソナリティ心理学会」などを想定している。なお、ここまでに実施してきた調査の分析結果がまとまり次第,順次投稿論文の執筆を行う。具体的な投稿先として、「Personality & Individual Differences」、「心理学研究」、「パーソナリティ研究」などの学術誌を想定している。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は,平成24年度に引き続き約40万円程度の金額が繰り越しとなった。その一因として,平成24年度に執行しなかった国際学会参加のための予算がそっくりそのまま繰り越しになったことが挙げられる。平成25年度単独でみると,単独年度の配分額に近い約80万円弱の金額を執行しているので,そのことからも裏付けられることが考えられる。 平成26年度は,既に「International Congress of Applied Psychology」および「European Conference on Personality」という2つの国際学会で発表することが内定しているので,まずはそちらに充てる。また,web調査を用いた縦断調査を検討しているため,その費用に充てる。なお,本研究の最終年度となるので,少しでも本研究の質を高めるためにその他国内学会や研究会への参加費用にも充てたい。
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