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2012 年度 実施状況報告書

統合失調症を対象とした認知機能改善療法の生物学的作用機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 24730591
研究種目

若手研究(B)

研究機関淑徳大学

研究代表者

中坪 太久郎  淑徳大学, 社会学部, 講師 (90456377)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード統合失調症 / 心理療法
研究概要

本研究では,統合失調症の認知機能障害に着目し,その改善のための研究を計画した。具体的な目的としては,統合失調症患者を対象に3ヶ月間の認知機能改善療法を実施し,その前後において,神経心理学的検査,社会機能尺度,脳機能画像(fMRI)による評価を行い,介入の効果に関する検証とそのメカニズムを明らかにすることである。
以上のような目的に対して,平成24年度においては,介入研究の準備および実施を行うことを研究実施計画として挙げた。それを受けて,当該年度においては,まず効果測定のための各種評価を準備した。内容としては,認知機能を測定するための神経心理学的検査バッテリー,社会機能を測定するための尺度を準備した。また,fMRI用の課題を新たに作成した。作成された課題について,患者群および健常群への試験的な実施の結果,本研究の目的である,認知機能改善療法の効果の測定を行うために十分な課題であると考えらたため,今後の研究に用いることとした。
上記のような準備を受けて,当該年度において既に介入研究に着手した。具体的には,対照群となる健常群へのfMRI検査の実施,患者への認知機能改善療法の実施とその前後による評価等を行なっている。
本研究の当該年度の成果は,統合失調症患者の社会生活機能を向上させる支援技術の発展と,支援技術の効果の判定に有用な評価の準備という意味で社会的意義のある成果であり,次年度以降も継続して取り組んでいく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成24年度の研究実施計画は,研究の準備および実施を行うことであった。そのために,各評価項目の準備,fMRI用課題の作成,研究参加者の募集等を行うことを予定した。このうち,研究の準備については,評価のための各尺度の準備,課題の作成等,滞りなく遂行できた。
また,研究参加者の募集について,本研究の介入対象者は,ICD-10の診断基準を満たす統合失調症の入院患者とした。比較的精神症状が落ち着いており,書面による研究参加の同意が得られた者を対象とした。健常群については,患者群とのマッチングを踏まえて,研究参加への同意が得られた者を対象にした。介入群,対照群の両群について,現在までに順調に参加者が集まっており,順次,評価と介入を実施している。
介入群に対しては,認知機能の改善を目的とした,12週間(週1回45分)の認知機能改善療法を実施している。具体的には,記憶,注意,実行機能の改善を目的としたトレーニングを実施している。対象者に対して,ベースライン時と介入後に,神経心理学的検査バッテリーによる認知機能の測定およびfMRIを用いた介入効果の神経基盤の検討,介入の精神症状への影響等について評価を行なっており,これまでのところ評価の方法についての大きな問題は出ていない。
これらのような,研究実施のための準備,参加者の募集,介入の実施の成果等を考慮して,おおむね順調に進展しているとの判断をした。

今後の研究の推進方策

平成25年度については,平成24年度に引き続き,統合失調症患者の認知機能改善の効果の検証を目的とした研究を実施していく。
現在のところ,研究を遂行する上での大きな課題等はないため,これまでに実施している方法での遂行を計画している。今後さらに研究を推進するための方策としては,介入前の評価,介入,介入後評価の流れをスムーズに行うために,病院内の医師や看護師,ソーシャルワーカーなど,さまざまな専門家と連携を取りながら,実施を行なっていく予定である。特に,研究参加者の担当医師とは綿密に連絡を取りながら,研究の参加者となる患者の評価を適切に行うことで,本研究の目的である介入効果の検証に必要なデータを収集していく。また,データの整理,分析についても,当初計画していた謝金の範囲内で協力を得ながら,滞りなく進めていく予定である。

次年度の研究費の使用計画

今後の研究の推進方法を受けて,一定数のデータが集まるごとに,その時点でのデータの詳細な分析等を行い,以降の研究内容の修正等を行なっていく予定である。分析した内容については,国内外の学会にて発表を行なっていくこと,加えて,海外での先進的な同様の取り組みについての資料を得ることも計画している。既に,海外での学会発表1件と国内での学会発表1件については採択がされている。そのため,学会参加のための旅費等,資料整理のための謝金および資料整理の協力者用のPCとソフト等に翌年度以降の研究費を使用する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2013 2012

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] 統合失調症を対象とした実行機能改善の取り組み2013

    • 著者名/発表者名
      中坪太久郎
    • 学会等名
      日本心理臨床学会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      20130825-20130828
  • [学会発表] Effects of Cognitive Remediation Therapy in the Form of One-on-One Sessions in Inpatients with Schizophrenia2013

    • 著者名/発表者名
      Nakatsubo Takuro, Inamoto Atsuko, Tsuneoka Toshiaki, Ogawa Hiroshi, Mimura Masaru, Kato Nobumasa
    • 学会等名
      European Federation of Psychologists’ Associations
    • 発表場所
      ストックホルム
    • 年月日
      20130709-20130712
  • [学会発表] 複数の領域に焦点を当てた認知機能改善療法の検討2012

    • 著者名/発表者名
      中坪太久郎
    • 学会等名
      日本心理学会
    • 発表場所
      川崎
    • 年月日
      20120911-20120913

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公開日: 2014-07-24  

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