研究課題
脳糖代謝量は、脳の活動状態を示す代表的な指標である。研究代表者らのこれまでの研究や臨床のデータから、最近、アルツハイマー病(AD)やその前駆状態である軽度認知障害(MCI)には、脳の左半球と右半球の糖代謝量に有意な左右差が認められる事例が存在することが明らかになった。本研究では、まず、脳糖代謝量に左右差があるAD・MCIには認知機能障害を中心とした心理的特徴にどのような違いがあるかを明らかにすることが目的であった(研究目的①)。これに関して、左半球に優位な脳糖代謝量の低下がある事例は、それ以外の事例と比べて、言語性記憶が低下していることが明らかになった。一方、言語性知能を含め、他の認知機能には有意差は得られなかった。また、左半球に優位な脳糖代謝量の低下がある事例は、それ以外の事例と比べて、MCIではなくADと診断される割合が多かった。この結果について、学会や学術誌を通して報告した。また、このような事例に対する新しい臨床心理査定法に関しては(研究目的②)、既存のWAIS-IIIとWMS-Rの検査バッテリーが有用であることが示唆された。しかし、これらの特徴は、心理検査によってそれを鑑別できるほどの精度は得られなかった(研究目的③)。研究目的①~③で作成したデータベースは、健常群のデータを含め、今後の研究に有意義なものとなった。健常高齢者における脳糖代謝量と認知機能の局在論的な関係(研究目的④)については、今後の研究課題である。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件)
International Journal of Geriatric Psychiatry
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1002/gps.4287