脳には左半球と右半球とがあり、意味性認知症などの一部の認知症疾患によっては脳機能の左右差が特徴的な場合がある。一方、アルツハイマー病は、これまで左右差は特徴とはされてこなかった。しかし、臨床的には脳機能に左右差がある事例も少なくなく、それぞれに異なった特徴がみられる可能性がある。 そこで本研究では、脳機能に左右差があるアルツハイマー病(および前駆状態である軽度認知障害)における認知機能の差を検討した。その結果、左半球に優位な障害がある事例は、それ以外の事例に比べて言語性記憶が低下していることが明らかになった。一方、右半球に優位な障害ある事例は、左右差がない事例と同様の認知機能を示していた。
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