研究課題/領域番号 |
24730595
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
田辺 記子(安藤記子) 北里大学, 薬学部, 助教 (30586376)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 医療心理学 / 個別化医療 / 心理的ストレス |
研究概要 |
医療現場において、患者個人に最適な治療方法を計画する「個別化医療」が導入されてきている。個別化医療による治療効果予測・副作用予測に関する生物学的知見は多く報告されているが、個別化医療に対する患者の意識や反応、および個別化医療に伴う心理的ストレスに関する調査研究は国際的にも未だ少ない。本研究では、実際に個別化医療を受ける患者に面接調査および質問紙調査を行い、個別化医療に対する患者の意識や反応、それに伴う心理的ストレスを把握することを目的としている。 本年度は、薬物療法を受ける手術不能の肺がん患者(再発・転移患者を含む)を対象としたインタビュー調査によって得られた質的データを用い、肺がん患者における個別化医療に対する意識について分析を行うこととした。インタビューを実施した24名の肺がん患者のうち、EGFR遺伝子変異陽性腫瘍に有効とされる治療薬であるゲフィチニブを服用していた患者は5名であった。現在、得られた質的データに対してMayring(2004)による要約的内容分析を実施中である。また、平成24年度中に患者の診療録調査は終了している。 また近年、がん患者に対する第I相試験(治験)においても個別化医療を基とした臨床試験が盛んに計画・実施されている。次年度以降、第I相試験参加患者に対するインタビュー調査を実施予定であり、研究計画を立案中である。本研究は、国立がん研究センター中央病院の共同研究者と協力し、実施予定である。 これらの研究は、今後ますます盛んになる個別化医療を受ける患者の心理的支援の一助となることが期待される。また、治験参加者における心理的支援に関する重要な知見が得られることも期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、実際に治療を受けるがん患者へのインタビュー調査を実施するものである。手術不能肺がん患者へのインタビュー調査および診療録調査は終了しており、今後は質的分析を中心に実施する予定である。また、新規の患者を対象とした研究計画を立案中であり、研究実施はおおよそ計画通りに進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
2013年3月19日より、研究は中断中である(平成25年度(2013年度)中は研究中断予定:産休および育児休暇取得のため)。平成26年度以降、継続した研究を実施予定であるが、臨床研究をとりまく環境の変化に対応した研究計画の変更も視野に入れていきたいと考える。 現時点での今後の研究推進方策は以下の通りである。 ・今年度までに得られた手術不能肺がん患者のインタビューデータに関する質的分析および質問紙データを合わせた量的・質的データの混合分析については、次年度以降も継続して実施し、研究成果として報告を行っていく。 ・現在計画中の第一相試験(治験)に関わる患者を対象とした研究計画を立案し、実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は当該研究に関する研究報告の機会が少なく、旅費の使用が予定を下回った。よって、次年度以降の研究報告時に係る研究費として使用する予定である。
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