本研究は、自我アイデンティティと集団アイデンティティの一側面である民族アイデンティティの関係を中心に、青年期の自我アイデンティティが異文化接触によってどのような影響を受けるのかを明らかにする。そのために、青年期に該当する留学生群を他の海外滞在群、および国内学生群と比較した。他の海外滞在群とは、発達段階の異なる「成人期渡航者群」および親の都合で海外滞在を経験する「帰国子女群」である。異文化接触は、自我アイデンティティ発達における「危機」となり、発達促進的である一方、リスクも生むことが示唆された。特に縦断調査の比較からは、青年群が成人群に比べ海外での異文化接触のインパクトを受ける可能性が示された。
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