研究課題/領域番号 |
24730599
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研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
太田 沙緒梨 日本女子大学, 人間社会学部, 研究員 (90440544)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 子育て支援 / コミュニティアプローチ / 心理教育 / 貧困 |
研究概要 |
【目的】今年度は、支援地区での包括的な子育て支援プログラムを策定するための、ニーズアセスメントおよびプログラムを試行的実施を目的とした。 【方法】1)ニーズアセスメント:昨年度までの子どものしつけに関する行動形成に焦点を当てた親教育プログラムの効果測定の結果等を用いて、現地カウンターパート3名および現地の地域リーダー2名を含めたミーティングをスカイプ等を活用して行い、新たな包括的な子育て支援プログラムの目標とその対象や内容について討議した。 2)プログラムの作成と試行的実践:昨年度までに親教育プログラム参加した母親ならびにその配偶者23組を対象に、二つのプログラムを12セッション試行的に実施した。一つは、「ストレスマネジメント」であり、ストレスに関する講義とリラクゼーション法、夫婦の協力を促すアクティビティを行った。もう一つは、「ペアレンティング」であり「子どもについて」「パートナーについて」「発達」「育児の心配と楽しみ」「子どもの気持ち」の5つのテーマに沿ったアクティビティと、少人数でのシェアリングを行った。 3)プロセス評価:実施・運営面の評価のためのスカイプミーティングをセッション後にスタッフと共に行った。 【結果】ニーズアセスメントでは、行動形成アプローチから内省的アプローチへと変化させる意義が、現地カウンターパートと共有された。次に、内省的アプローチを実現させるために、次のことが決定した。親の内省機能を促進するために、父親も含めてその対象を拡大する、生活による心理的ストレスや夫婦関係も扱う、親の自尊感情を高める、現地と日本で振り返りミーティングを持つことである。プロセス評価では、親への視覚資料の作成、コンサルテーション方法の検討が課題となった。また、近隣による性暴力被害の存在が明らかとなり、地域の安全度のアセスメントの必要性が浮上した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の予定であるニーズアセスメントならびに試行的実践については、当初の計画よりも進んでいる。しかし、予定していたプログラムの研修の時期が年度末になったため、情報収集と現地調整の一部が計画よりも、遅れている。また、プログラムの試行的実践の中で、新たなニーズが明らかとなり、より精緻なアセスメントが次年度必要となる。以上より、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降は、近隣の安全度のアセスメント調査の実施、調査結果に基づくプログラムのコンテンツの修正と実践評価を進める。実践評価では、当初予定していたプログラム参加者に対する効果測定だけでなく、プログラムスタッフによる養育者の評価を組み入れる形へと変更する。スタッフによる評価を組み込み、その結果に用いたコンサルテーションをスタッフに行う形へと、我々の関わりを変化させることが、協働過程の検討という本研究の目的を達成するために必要であると考えたためである。 我々の関わりの変化を現地カウンターパートがどのように受け止め、意味づけているのかについてのインタビューを実施する予定し、最終年度に、データの分析ならびに成果発表する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
当該研究費が生じた状況: 今年度は、予定していた海外でのプログラム視察が国内で開催されたこと、スカイプでによるプログラムの中継とミーティング、電子メールのやりとりを重ねることで、運営面の評価が可能になったことが、次年度に使用する予定の研究費が生じた理由である。 翌年度以降に請求する研究費と合わせた使用計画: 25年度は、実践評価とスタッフ育成のためのコンサルテーションを定期的に行うことを予定している。今年度に主に行った運営面への評価ではなく、臨床的助言を行うコンサルテーションを行うことが研究の遂行上必要であると考えられるため、計画よりも渡航回数の増加を予定し、そのための海外旅費が必要となる。修正プログラム実施では、パワーポイントの活用を予定しており、現地で使用するためのノートパソコン、記録・資料作成のための記録機材(ビデオカメラ・デジタルカメラ)が必要である。調査研究謝金(研究協力、研究補助、翻訳料)に使用する予定である。 平成26年度は、質的分析を行うための統計ソフト、成果発表のための海外旅費ならびに翻訳料も必要である。
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