研究課題/領域番号 |
24730602
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 岐阜医療科学大学 |
研究代表者 |
八田 武俊 岐阜医療科学大学, 保健科学部, 講師 (80440585)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 怒り反すう / 循環器系疾患 / 生活習慣 |
研究概要 |
本研究の目的は、怒り体験の非意図的で再帰的な思考と定義される怒り反すうが、心身の健康問題に及ぼす影響を検討することである。具体的には、中高年者を対象に怒り反すう傾向と高血圧や脳卒中といった循環器系疾患との関連を検討する。怒り研究では、怒りの喚起されやすさと比べて怒りの持続について検討した研究は少ない。当該年度は、怒りの持続をもたらす怒り反すう傾向と循環器系疾患との関連を検討するため、怒り反すう尺度(八田・大渕・八田, 2012)を実施し、約500名ほどのデータを得ることができた。これは量的な解析を実施するうえで十分な量である。 また、本研究では、怒り反すう傾向と睡眠やアルコール、喫煙などの生活習慣との関連についても検討する。本研究は、怒りの持続という心的要因と循環器系疾患やその健康問題にかかわる生活習慣との関連を明らかにする点で有意義である。当該年度は循環器系疾患のリスク因子となりうる生活習慣として、喫煙、飲酒、睡眠以外にもストレスに焦点を当てることを決定し、ストレスを測定する尺度の選定とその使用許可を得た。 本研究は怒り反すう傾向と生活習慣との関連を調べるため中高年者だけでなく、若年者に対しても調査を実施する。当該年度に得られた怒り反すう傾向に関する高齢者のデータと申請者が過去に得た若年者の怒り反すう傾向に関するデータを合わせて、怒り反すう特性に関する発達的変化をまとめた論文を執筆した。これは、怒り反すう傾向の発達的変化を知るうえで有意義であり、怒り反すう傾向と生活習慣との関連を調べるうえで重要な資料となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の計画とおり、個人の怒り反すう傾向を測定する怒り反すう尺度(八田・大渕・八田, 2011)を高齢者500名ほどに実施できた。怒り反すう傾向に関するデータは本研究の根幹をなすため、これを得ることは目的の達成にとって非常に重要である。ただし、生活習慣や問診における疾病の有無などのデータは他の検診班が測定したデータのため、まだ整理段階のため、怒り反すう特性との関連については検討できていない。それでもおおむね順調と評価した理由は、高齢者の怒り反すう特性に関する最新のデータが得られたことに加えて、生活習慣に関する項目を特定し、それに必要な尺度の利用許可が得られたことや、怒り反すう特性の発達的変化を検討した論文を発表できたことにある。特に、怒り反すう特性の発達的変化は怒りと循環器系疾患との関連を検討するうえで有益な資料となりうる。
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今後の研究の推進方策 |
まず、循環器系疾患や生活習慣などに関するデータを整理し、怒り反すう特性と循環器系疾患との関連を検討したのち、循環器系疾患のリスク因子となりうる生活習慣との関連についても検討する予定である。そのほかには若年者についても怒り反すう特性と生活習慣との関連を検討すべく質問紙調査を実施する。すでに質問紙はほぼ完成しており、あとは実施するだけという段階にある。ただし、各検診において実施される研究目的の質問紙や検査は住民の負担を考慮し、必要最低限にとどめなければならない。それゆえ、一度に収集できるデータは限られている。最終的には、怒り反すう傾向が生活習慣を媒介し、循環器系疾患に影響を及ぼすモデルについて検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費の使用計画として、ソフトウェアの更新や資料整理のための物品を購入する予定で40万程度を計上しており、また若年者に関するデータの入力や整理などに人件費が 10万円ほど必要になることが予想される。そのほかに、データを得るためにも北海道での検診に行く必要があり、それにかかる旅費として10万円、国内の学会発表2~3件で20万円ほどを予定している。また、図書費や通信費などで5万、論文の英文校閲などの雑費などでも5万円ほどを予定している。
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