本研究の目的は、青少年の自傷行為のリスク要因について、心理的な側面、対人関係要因の側面及び行動及び情緒の問題の側面から検討を行うことである。 平成25年度においては、平成24年度に中学生を対象に実施した質問紙調査の分析を進めた。特に、いじめ及び学校における情緒的な安心感、行動上の問題と自傷行為との関連について検討を行った。いじめに関しては、対面もしくはインターネット上でいじめの被害のみ経験があること、いじめの加害のみ経験があること、いじめの被害と加害双方の経験を変数とした。行動上の問題に関しては、The Strength and Difficulties Questionnaire(以下SDQ)を用いた。SDQでは25項目の質問項目で向社会的行動、多動・不注意、情緒不安定、友人関係問題、問題行動を測定した。その結果、男子においては、いじめの被害のみの経験、加害のみの経験、被害と加害双方の経験があることとSDQにおける嘘をつくなどの問題行動との関連が示された。一方、女子においては、いじめの被害のみの経験と被害及び加害の経験、SDQのうち、情緒不安定と問題行動、友人関係の問題が自傷行為と関連があることが示された。また、女子において、学校において安心感を感じている者は自傷行為を行いにくいことが示された。
|