研究課題
うつ病は大学生にとって重大な精神健康上の問題である。本研究では,大学生のうつ病に対する集団認知行動療法プログラムを開発し,介入研究によってその有効性を検証することを目的とした。平成25年度は,前年度に実施したランダム化比較試験の維持効果について検討を行った。研究対象者42名(介入条件20名,統制条件22名)に対し,集団認知行動療法プログラム終了後5ヶ月後の時点において抑うつ症状を測定する質問紙 (CES-D, Radloff, 1977)と自殺念慮を測定する質問紙(SIQ, )をフォローアップアセスメントとして実施した。集団認知行動療法プログラムの維持効果を検討するため,CES-DとSIQの得点をそれぞれ従属変数とし,群(介入条件,統制条件)×時点(プレ,ポスト,フォローアップ)を独立変数とする二要因分散分析を行った。その結果,CES-Dにおいて群と時点の交互作用が有意であり,介入条件ではプレからポストにかけて抑うつ症状が大きく減少しており,フォローアップの時点においても抑うつ症状の低減効果が維持していた。統制条件においては全時点を通じてゆるやかな抑うつ症状の減少が認められたが,その大きさは介入条件の対象者には及ばなかった。また,SIQにおいては群と時点の交互作用は有意傾向であり,介入条件ではプレからポストにかけて大きな自殺念慮の低下が起こり,フォローアップ時点においてもその低下は維持されていた。一方,統制条件においてはすべての時点を通じて自殺念慮の変化はほとんど起こらなかった。以上の結果から,本研究において実施された集団認知行動療法プログラムには一定の維持効果が認められた。
すべて 2014 2013 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (10件) 備考 (1件)
関西大学心理学研究
巻: 5 ページ: 51-56
認知療法研究
巻: 7 ページ: 84-93
臨床心理学
巻: 14 ページ: 395-401
Social Psychiatry and Psychiatric Epidemiology
巻: 48 ページ: 2017-2026
10.1007/s00127-013-0673-3
http://www2.ipcku.kansai-u.ac.jp/~hsato/