本研究の目的は,小学校入学後に学校適応に困難を示す「小1プロブレム」と称される社会問題を予防すべく,小学校就学時の適応に関わる要因を明らかにする実証的なアセスメント研究を行うことであった。 平成27年度は,この2年間ほどで開拓してきた研究フィールドである,公立幼稚園および公立小学校で行っている支援活動を通して,どのような子どもに支援のニーズがあるか,またどのような場面で支援を必要とする状況が生まれやすいのか,ということなどについて,支援内容の報告から分析・検討を行った。 具体的には,研究代表者のゼミに所属する学生が,大学近隣の幼稚園および小学校で支援活動を行っているのだが,どのような幼児・児童に対して,どのような状況で問題となる行動が起き,それに対してどう支援をしたのか,という記録を,毎回の支援後に報告させていた。その報告書に記載された内容を分類し,幼稚園と小学校で支援が必要となる状況はどのように異なるのか,あるいは類似しているのか,また問題となる行動がどのように異なるのか,共通しているのか,ということなどの分析を行った。
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