本研究の目的は、前思春期の内的問題行動の発現と抑制に関わる要因を被調査児の幼児期のデータとともに縦断的に検討することであった。 児童期の不安・抑うつの問題において幼児期の影響は9歳で見られなくなった。そして9歳以降の児童の抑うつに影響を及ぼす要因は同世代の人間関係の質であった。前思春期の問題は、従来より臨床的知見として語られてきたとおりに同世代関係に影響されることがデータでも実証された。また、児童期の不安・抑うつの問題は幼児期の不安・抑うつの問題と連続性を持たなかった。非行・攻撃的問題については、4歳時の否定的感情表出への養育者の懲罰・軽視的反応が児童期に継続して影響を及ぼしていた。
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