研究課題/領域番号 |
24730616
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
本山 宏希 茨城大学, 人文学部, 准教授 (30555230)
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キーワード | イメージ / イメージ鮮明度 / 抑制 / fMRI / 視知覚処理 / 注意 |
研究概要 |
本研究は,イメージ生成を抑制する機能,および外界からの視知覚情報を抑制する機能,二つの側面から,心的イメージ生成過程を解明する。2012年度は,イメージ生成を抑制する機能について焦点を当て,その機能を担う脳部位の特定につながる実験結果を得た。2013年度は,1)上記知見のさらに詳細な検討を可能とする研究計画の推進と,2)もう一方の視知覚情報処理を抑制する機能についての実験準備を行った。 1)ネガティブなイメージはポジティブなものに比べ,イメージが不鮮明であることが先行研究などから指摘されている。このことから,ネガティブイメージ生成時にはイメージ生成を抑制する機能が作動していると考え,研究を進めてきた。ただし,ネガティブなイメージが不鮮明なのは,イメージ生成が抑制されたためではなく,ネガティブなイメージ対象に関する情報が長期記憶内に少なく,その結果不鮮明なイメージが形成されたという可能性も否定できない。そこで,2013年度は,ポジティブとネガティブな刺激間で,長期記憶内に保持されている情報量は同等と考えられる刺激の作成を行った。今後は,それらの刺激を使用することによって,長期記憶内に保持されている情報に違いはない上で,イメージの鮮明度に差があるか否かなどを検討する実験を立案中である。 2)今後は,イメージ生成中に,視知覚情報処理が抑制されるか否かを検証する実験を行う予定である。2013年度は,実験機器の購入,刺激の選定,および実験参加者プールの作成などを行った。 2013年度は,1)の調査・実験結果を日本イメージ心理学会第14回大会で,また,2012年度までの成果を日本心理学会第77大会の公開シンポジウムにて発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初,研究計画は3つの段階を経て実施することを想定していた。すなわち,1)イメージ生成を抑制する機能の検証段階,2)イメージ生成中に視知覚処理を抑制する機能の検証段階,3) 1)2)の両機能から,イメージ生成モデルを作成する段階である。2012年度に1)を実施した。2013年度は1)が進展したことにより,新たに生じた問題の検証を行い,さらに2)の実験準備を行った。計画では,2013年度には2)の実験が完了している予定であり,その面ではやや遅れているが,2)と3)を並行して進行させることことにより,当初の計画通り遂行することが可能と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2014年度は,イメージ生成中に視知覚処理の抑制が生じるか否かを検証する実験,および,イメージ抑制機能との関係からイメージ生成モデルの提案を行う予定である。2013年度に,実験段階のうち,実験機器・実験プログラム作成ソフトの購入,実験参加者プールの作成を行っており,2014年度の前半に行動実験の実施,後半にMRI実験の実施を予定している。MRI装置については,北海道大学の装置を使用することを考えており,すでに使用権限を持つ連携協力者から2014年度の使用について了承を得ている。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究計画段階では,2013年度にMRI装置の使用を予定しており,その使用料を計上していた。しかし,2013年度はMRI実験を実施しなかったため,その分が余剰となった。また,申請者は,2013年度から,所属機関を異動したため,研究環境を整えるための物品購入が計画段階より増加した。上述した使用額の増減の結果,次年度使用額が生じた。 2014年度は,MRI実験を実施する予定であり,その使用料および装置使用にともなう出張費等により,上記次年度使用額も予定通り消化される見込みである。
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