睡眠中に体験する夢にはしばしば情動要素が含まれる。本研究では,夢における情動体験の発生機序と情動体験が生じることの機能的意義(役割)について,脳活動と自律神経活動の両側面から検討を行った。その結果、夢の情動要素の発生機序について、ネガティブ情動はレム睡眠中に生じる扁桃体の賦活と心拍数に正の相関関係を示し、ポジティブ情動は扁桃体の活動と負の相関関係を示した。さらに、レム睡眠を短縮すると短縮しなかった場合に比べて、翌朝に体験したネガティブ事象後のネガティブ情動がより強化された。これらの結果より、夢における情動体験が反映するレム睡眠中の脳機能は日中の情動調整機能に関与する可能性が示唆できる。
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