本研究では、ごく短い時間間隔に対する知覚的時間長を測定し、呈示刺激の特性によってその知覚的時間長が歪むかどうかについて調べた。1秒未満の時間間隔に対する充実時間錯覚は、主に聴覚において調べられてきたが、本研究ではランダムドット図形を刺激として用いることによって、視覚においても同様の錯覚が確かに生じることを示した。動的ランダムドットを刺激として用いた場合、運動の速さや方向は不定であるにもかかわらず、時間拡張錯覚が生じることが示された。さらに、知覚的時間長は、単純化した絵によって示された認知的な運動によっても影響され、その認知的な速さが増すと知覚的な時間長も長くなることが示された。
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