研究課題/領域番号 |
24730626
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
神保 太樹 昭和大学, 医学部, 兼任講師 (60601317)
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キーワード | 匂いの感知メカニズム / 匂いの脳内処理 / fNIRS / fMRI / 国際情報交換(ロシア) / 国際情報交換(アイルランド) |
研究概要 |
fNIRS等における追加試験により、一定の傾向が得られた為、結果について「脳の特定の場所の活動を賦活又は抑制する経鼻的脳機能調整剤」として2013年8月21日に特許出願を行った。この結果は少数例ながら、脳の原始的な機能活性の短期的な調整を、匂いだけである程度調整可能と思われるという点で重要であると考えている。 これまでの結果から、仮説として匂いの脳機能への影響は、1前頭前野近傍部刺激型、2側頭部近傍刺激型、3側頭部近傍鎮静型、4混合型、5弱影響型のように分類できると仮説づけた。 さらに、来年度ポータブルfNIRSの導入を行うことを検討している。また昨年開発の匂い曝露装置の耐久性とソフトウェア上の問題で、fMRIに使用前に改良または代案を検討することを余儀なくされた為、現在は島津製作所製FF-2020S付属の定量的なガスチャンバーをfNIRS、fMRIに応用できないかを検討している。(現在はfMRIの設備入れ替えに伴い、実験が行えない為休止しているが、6月程度に再開する予定である。) 最終的に、fNIRS、fMRIの両技術を用いて、「香りを職業として扱う人々(調香師、香道家、アロマセラピスト等)」と「一般の健常成人者」との間に脳の活性部位が著しく異なるところがあるかを調査することを来年度の目標としている。 尚、課題として既にfNRISの実験上で、順序効果(匂い提示時の前後の匂いの影響)が、現在のモデルでは避けられないのではないかという指摘があった為、これをクリアする為に単一試験を繰り返すかどうかについて検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度作成した装置について、本体耐久性とソフトウェアの脆弱性が発見され、全体の見通しの修正を余儀なくされている状況である。特にソフトウェアのタイムラグが、長い研究デザインを組んだときに顕著であり、ブロックデザインの場合には1~2秒程度の遅れが出ることが明らかになった為、現在装置を改善できるか試行錯誤している状態である。 特に本来であればfMRIの調査についてデータの収集を行う時期であったが、前述の理由によりfMRIと曝露装置との同期をはかることがまず困難な状態であり、この点からfMRIに関するはっきりとした成果物が得られていない状態である。 従って、本研究の実施計画書と比較すると、ある程度の成果は得られているものの、研究はやや遅れていると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
課題としては、昨年に引き続き匂いの曝露方法に関するものがもっとも大きいと考えている。特に機械本体の接点脆弱性とソフトウェアの不調は大きな問題であり、代替案として島津製作所より匂いの客観的官能評価装置であるFF-2020Sの一部の貸与が受けられるかどうかを交渉するとともに、その予備試験を行うことで合意した。 同時にfMRIとの同期の問題はかなり大きな問題である。幸い、与えられた予算については比較的余裕がある為、研究時期を絞り、上記機器を含めた幾つかの機器のレンタル等を活用することで、この問題を解決したいと考えている。 また同時に、機器の問題を解決し、速やかに「香りを職業として扱う人々(調香師、香道家、アロマセラピスト等)」のリクルートを行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
装置関係の見直しの為、支出が必要な点少量の消耗品以外ほとんど無く、また昨年度の装置作成も最小限の金額しか使用していなかった為、次年度使用額が大きく残る結果となった。 予算の一部はポータブルNIRSの購入が金額的に可能であれば、購入を行い、より頻回の実験を行えるようにする予定である。また現在までに研究計画がやや遅延している状況である為、場合によっては補助事業期間延長申請を行うつもりである。
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