研究課題/領域番号 |
24730626
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
神保 太樹 昭和大学, 医学部, 兼任講師 (60601317)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 感覚器の発達 / 嗅覚の発達 / 脳神経機能 / NIRS / 後天的変化 |
研究実績の概要 |
近赤外分光分析(島津製作所製fNIRS: functional near-infrared spectroscopy)および単極脳波計(フューテックエレクトロニクス製FM-929)を用いて、健常一般職成人対象者群(一般職群)と匂いを職業上頻繁に利用する健常成人対象者群(芳香職群)とで匂いに対する反応性に変化があるか否かについて検討した。 結果としてfNIRS上では、一般職群が匂いに対しては前頭前野近傍部の反応性が顕著に賦活される傾向にあるのに対して、芳香職群では側頭部の反応性が有意に賦活されていた。機能的には前頭前野近傍部は多くの匂いによって賦活される一般的な部位であり、側頭部の活動性の賦活は陳述記憶や情緒・感情と密接な関わりがある。このことから、匂いに慣れ親しむという経験は、匂い刺激を受けた場合の脳の反応性に影響を与え、特に匂いの知識によってバイアスがかかる可能性を強く示唆するものと考えられる。 以上より、脳が匂いの環境要因によって、後天的に変化する可能性が強いことを示唆したものと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
家族の持病が悪化した為、一時的に介護が必要になり、そのために予定の実験の一部を行うことができなかったので、やや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
健常一般職成人対象者群(一般職群)と匂いを職業上頻繁に利用する健常成人対象者群(芳香職群)とで匂いに対する反応性に変化があるか否かについてさらに例数を増やした実験を実施する。 また、NIRSについてポータブル型NIRSの導入を行い、健常者と有病者の反応性の変化について検討を行う。特に中枢性嗅覚障害を呈することがよく知られているアルツハイマー病患者と健常対象者の間にどのような差があるか検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度に脳神経画像所見による嗅覚反応性実験を行い、本課題の目的である経験による脳神経の反応性のさいを明らかにする予定であったが、家族の持病が悪化し、一時的に介護の必要性が生じたため、予定していた実験ができなくなってしまったため未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成26年度に実施を予定していた脳画像所見による嗅覚反応性実験を平成27年度に行うこととし、未使用額はその経費にあてることとしたい。
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