研究課題
これまでの検討で、以下の点が明らかになった。1:匂いの脳内における反応性には再現性があり、同様の匂いによる反応部位は予測可能である。2:上記の反応性については、個人差も存在しており、特に匂いに関わる仕事を行っているなど、日常的に匂いに触れている対象者については上記の結果からの予測を逸脱する可能性がある。この点を踏まえて、さらに以下の2点について検討を行った。1:匂いについての脳の部位の内、多くの匂いに共通するのは前頭前野近傍部の活性であったが、機能性として例えば集中力を向上させると考えられている匂いと、その逆にリラクゼーション作用をもたらすような匂いでは明確に異なるパターンを示すか。2:上記に加えて、機能性をもたらすとされる先行研究の多くでは簡易脳波計などを用いた生理学的変化から機能性を示していたが、匂いを嗅いだときの脳波のパターンにも変化があるか。上記を検討するために、スペクトラテック社OEG-16装置を用いて、前頭前野近傍部周辺のオキシヘモグロビンの変化を、ペパーミント、フェンネル、ローズマリーの三種の匂いを嗅いだときにどう変化するかを検討した。この時同時に、対象者の匂い機能が正常であるかどうかを検査し、匂いについての嗜好性も検討した。さらに、簡易脳波計(ヒューテックエレクトロニクス社FM929)を用いて、このときの有意脳波の傾向について調査した。結果として、OEG-16における結果では、機能性が異なるとオキシヘモグロビンの動態のパターンも変化することが分かった。さらに簡易脳波における優性脳波も異なるパターンを示すことが分かった。しかし、嗜好性とのはっきりとした相関は無かった。従って、香りによる機能性を得て、医学的に何らかの治療などに結びつけるためには、機能性を発揮するかどうかを検討するとともに、NIRSなどの簡便な脳機能評価法を行うべきであることが分かった。
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Neuroimage Clin.
巻: 3:7 ページ: 155-69
10.1016/j.nicl.2014.11.019.