研究課題/領域番号 |
24730631
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研究機関 | 静岡英和学院大学 |
研究代表者 |
日比 優子 静岡英和学院大学, 人間社会学部, 准教授 (80550350)
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キーワード | 注意機能 / 高齢者 / 事前情報の利用 |
研究概要 |
注意機能を測定する課題の中で最もよく使われている視覚探索課題では、実験参加者に複数の妨害刺激中に1つだけ提示された標的の有無の判断を課し、刺激画面の提示から実験参加者の反応までの時間を計測する。この課題を用いた研究では、「どのような特徴を持つ標的が提示されるか」についての情報を課題遂行前に知識として獲得し、後に意図的にこの知識を利用する機能が高齢者において低下することが報告されている。一方、この事前情報を知識として与えるのではなく、同じ特徴をもつ標的を繰り返し提示するといった刺激特性に基づく操作により、自らの意図によらない情報の利用を促した場合は、高齢者での機能低下がみられない(Kumada & Hibi, 2004)。 初年度となる平成24年度では、この現象の確認と単純反応操作を用いた事前情報の利用を検討することとした。反応特性に注目し、事前に特徴への単純反応を促す条件を設定した新しい視覚探索課題を用いて、高齢者における直前の「反応した」という事前情報の利用について検討することを計画した。まず、比較対象となる大学生のデータを収集した。続く平成25年度では、初年度に計画した高齢者のデータを収集した。次に、視覚特性に注目し、反応させずに特徴を見せるのみの条件を設定した新しい視覚探索課題を用いて、高齢者における直前の反応を伴わない事前情報の利用について検討することを計画した。事前に標的特徴を「見た」という経験、すなわち直前の「見た」という事前情報が、後続の視覚探索画面に対する高齢者の反応に影響するか否かを調べた。高齢者のデータ収集を終了した。最終年度に向けて、大学生のデータ収集および論文執筆を計画中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
初年度となる平成24年度、産前産後の休暇又は育児休業により中断したため、データ収集および学会発表が当初の計画通りには進んでいない 。続く平成25年度、実験の実施はできたため計画されていたデータ収集のほぼ8割を終えたが、育児のため宿泊を伴う学会発表のための出張が困難な状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
初年度は、反応特性に注目し事前に特徴への単純反応を促す条件を設定した新しい視覚探索課題を用いて、大学生のデータのみしか収集できなかった。続く年度では、この実験の高齢者のデータ収集を終え、情報の利用において事前に反応を伴わない視覚特徴の提示のみにより知覚特性に注目した2番目の研究に着手した。すでに高齢者のデータ収集を終えた。最終年度では、比較対象となる大学生のデータ収集を終え、宿泊を伴う学会発表は難しいが論文執筆に着手することを計画している。
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