三次元空間での注意配分時に用いられる空間表象がどのような特性を有しており,我々の認知処理にどのような寄与があるのかを以下の二側面から明らかにすることが本研究の目的である.(1)注意配分特性を観察者動態と静態で比較した.結果,同一視線上にある異なる奥行き位置の課題に無関連な対象については無視可能であることが示された.(2)実際空間での注意配分における空間表象の形成とその利用について,水平方向の刺激配置と奥行き方向の刺激配置で検討した.結果,あらかじめ刺激が空間内に存在していることが注意配分における空間表象の利用に影響しないことが示唆された.
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