研究課題/領域番号 |
24730637
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研究機関 | 高松大学 |
研究代表者 |
向居 暁 高松大学, 発達科学部, 准教授 (80412419)
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キーワード | 虚記憶 / 自伝的記憶 / 心霊体験 / 心霊信奉 / DRM / 個人特性 / 国際情報交換 |
研究概要 |
実際には呈示されていない関連ルアー項目の虚記憶を誘発するDRM課題を用いた数多の実験室研究の成果から、虚記憶の生起が複雑な活性化やモニタリングのプロセスからなることが明らかにされ、理論的説明がなされてきた。今後の課題は、このような知見の、より多様で複合的な自伝的記憶への応用可能性であり、個々のプロセスがどのように自伝的な虚記憶と関連しているのかを解明することであろう。本研究は、実験室のDRM課題による虚記憶と現実世界で生起する空想的自伝的虚記憶との関連性を究明するために、双方の虚記憶に関与する活性化及びモニタリングに係る個人変数を個別に検討し、DRM課題の研究知見や理論の一般化可能性を探求する。 平成24年度は、まず、一般大学生においてDES-Cの日本語版の信頼性と有用性を確認した。次に、包括的心霊信奉・心霊体験尺度の作成を行った。調査結果にもとづいて、それぞれの尺度において、項目分析を行い、本調査で必要な項目を選出した。包括的心霊信奉・心霊体験尺度作成の本調査に向けた準備が終了した。 平成25年度は、まず、DES-Cの妥当性の検討のために、想像活動への没入尺度、空想傾向尺度、日常的離人・解離・分割投影尺度、アレキシサイミア傾向尺度を250名の一般大学生で実施した。日常的離人尺度と高い相関がみられたが、日常的解離尺度の一部の下位因子とはほぼ相関がみられないなど、DES-Cの特徴が明らかになった。結果に関して、茨城県立医療大学の佐藤准教授と検討した。また、作成した包括的心霊信奉・心霊体験尺度を250人の被験者に実施した。個別実験に向けて、提示リストなどの材料の選定、刺激提示ソフトのプログラムの作成など、個別実験への準備を行った。そして、これまでの結果や今後の実験について、ベルギー・リエージュ大学のDehon博士、および、Bredart教授と討議し、重要な助言を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、包括的心霊尺度、および、その他関連する尺度を実施し、予備実験として集団実験を行う予定であったが、それらを行うことができなかった。 研究の遅延の理由として、予定よりも多くの一般大学生に包括的心霊信奉・心霊体験尺度の回答を求めたことがあげられる。この尺度の項目が多くなったことや因子分析の結果が安定しなかったことに応じて、被験者を多く必要としたことがその理由である。そのため、予備実験の準備は整っていたものの、実施が間に合わなかった。しかしながら、この点に関しては、外部研究協力者からも、近年の先行研究の知見に基づいて、個別実験で対応できれば全く支障はなく、また、包括的心霊信奉・心霊体験尺度の特徴やその他の自伝的虚記憶に関連すると思われる個人特性を測定する尺度も個別実験参加者を対象を中心に行えば問題ないと忠言された。同時に、虚記憶実験参加者(一度実験に参加したら二度と参加できない)の「節約」にもつながる。今後は、個別実験の調整とその具体的な実施に尽力する。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、新たな被験者に対して、包括的心霊尺度および、関連する諸尺度を実施し、回答者を対象として、DRM虚記憶実験を行う。虚記憶の実験は、同じ被験者を二度と用いることはできないため、予定していた集団実験に省略し、個別実験のみとする。基本的なリストや実験材料は、先行研究と同様のものを利用するために、集団実験を省略しても差し支えないと考えられる。 7月末までには包括的心霊信奉・心霊体験尺度結果に基づいて、大学生を対象者として予定された実験を行う。それと同時に、実験参加者の個人特性(例えば、VVIQ、VVQ、認知欲求尺度、妄想観念尺度日本語版、健常者用幻聴様体験尺度、統合失調症型パーソナリティ尺度)を実施する。ベルギー・リエージュ大学のDehon博士に虚記憶に関与する個人特性として「符号化スタイル(encoding style)」の重要性と自伝的虚記憶との関連性を指摘されたため、この特性についても検討する。実験結果について、イギリス・キール大学に赴き、シャーマン博士と討議する。討議結果に基づいて、新たな実験を計画し、実施する。現在のところ、モダリティ操作が一つの候補ではないかと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
ベルギー・リエージュ大学への渡航が3月になったため、請求が次年度に持ち越したことが理由である。 2014年3月のベルギー渡航でそのほとんどは既に使用済みである。
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