研究課題/領域番号 |
24730640
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研究機関 | 科学警察研究所 |
研究代表者 |
松田 いづみ 科学警察研究所, 法科学第四部, 主任研究官 (80356162)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 隠蔽意図 / 事象関連電位(ERP) / 後期陽性電位(LPP) / 伝達意図 / 認知負荷 |
研究実績の概要 |
前年度までに,ある項目を記憶していることを隠しているときは,項目提示後500 ms以降から事象関連電位(event-related potential: ERP)の後期陽性電位(late positive potential: LPP)が生じることを示した。また,LPPの電源が,右中・下前頭回に推定されることも示した。しかし,この脳活動が隠すときに特有の変化かはわからない。今年度は,項目に関する記憶を隠そうとする条件と伝えようとする条件で,ERPを比較した。隠そうとしたときは今までの結果と同じく,右前頭部を電源とするLPPが生じた。一方,伝えようとしたときは,左前頭部を電源とするLPPが生じた。この結果から,LPPは付加的な処理が必要なときに生じるが,処理の内容によって発生源が異なること,隠そうとしたときの電源は右前頭部であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
隠蔽の意図と対応する事象関連電位の特徴を明らかにすることができた。本年度の結果は,項目を再認したあとの付加的処理が,隠蔽に関わるものか否かを,事象関連電位の電源から推測できることを示唆している。
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今後の研究の推進方策 |
隠蔽と伝達を意図したときの事象関連電位の違いについて,論文にまとめる。また,本研究課題の成果をまとめた総説を執筆することで,多くの人に研究成果を知ってもらえるようにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
H27年9月末まで育児休業を取得しており,研究ができない状況にあったため。
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次年度使用額の使用計画 |
実験データ分析の補助員の雇い上げ,研究成果報告のための学会出張,論文の英文校閲などに使用する。
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