研究概要 |
<研究I>幼児教育の実践 平成25年度は平成24年度調査をもとに4歳児と5歳児クラスの文字や数に関する年間指導計画を立案し幼児教育の実践を行った。平成23年度の調査開始時は文字や数を取り入れようとするとその保育方法が遊びとしての本質を失ってしまうことが多かった。しかし、年間指導計画に遊びとしての楽しみを明確にしながら立案したことで、幼児が楽しみながら行える「すごろく」(文字遊び)「どんぐりつかみゲーム」(数遊び)などを考案することもできた。また、幼児が自由遊び時間に活動を自ら繰り返し行う姿もみられ、生活の場で連続した幼児教育を実践することができた。 この結果は日本発達心理学会第25回大会にて発表した。 <研究II>保育所における幼児の発達を促す保育環境の実際 平成24年度に行った小学校への学習準備に関する保護者と保育士の認識調査では、いずれも文字の読み、計算といった基本的な力を身につけておく必要があるとの認識が高かった。そのため、当初予定していた必要性を問う認識調査では天井効果となり有用な結果が得られないと判断した。そこで、ECERS(Harmsら,1998)などを参考に作成した幼児の発達を促す保育環境についての質問紙を、10箇所の保育所、計36クラスを担当する保育士46名を対象に、自身のクラスの現在の環境について「あてはまらない」(1)~「大変あてはまる」(5)の5段階で評定を求めた。その結果、3歳児に比べ4歳児・5歳児では「数の概念」「言語活動」に関する得点が有意に高かったことから、音韻理解の発達時期などに応じて保育者が保育環境を変えていることが伺えた。しかしながら、5歳児であっても「数の概念」「言語活動」に関する平均得点は3点を下回っており十分とはいえないことが分かった。 この結果は、日本乳幼児教育学会第23回大会、聖和学園短期大学紀要第51号にて発表した。
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