本研究は、多文化社会ドイツにおいて、文化的背景の異なる他者の排除と共生の葛藤に学ぶ教育活動の事例として、アンネ・フランク・センターと「レイシズムのない学校」プロジェクトに着目し、その内実を明らかにするものである。文献研究及び現地調査の成果として、①異文化間教育論やレイシズム研究からこれらの教育活動を理論的に位置づけるマトリックスの試案、②「レイシズムのない学校」プロジェクトによる青少年の現実と乖離しない活動を支えるコーディネーターの特質とリソース、③アンネ・フランク・センターによる「過去」と「現在」をつなぐアプローチの有効性、④青少年のさらなる社会への働きかけを支える素地について提示した。
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