研究概要 |
本研究の目的は,北米において注目されている「専門職の学習共同体(PLCs)」としての学校の特徴を理論的・実証的に明らかにすることである。具体的な到達目標は,「専門職の学習共同体」としての学校に関する主要な論者の議論について,教育経営の組織論やリーダーシップ論の観点から理論的な位置づけと課題を明らかにすること,そして「専門職の学習共同体」としての学校の参与観察や校長への聞き取り調査をもとに,その学校の特徴や校長のリーダーシップの在り様を明らかにすることである。 本年度は,昨年度の研究に引き続いて,以下の3点を行った。 第一に,PLCsの基盤となる考え方を吟味するために,リトルの同僚性の研究と並んでその理論的な原点と称されるアメリカの教育社会学者ローゼンホルツ(Susan J. Rosenholtz)の「教師の職場」研究について概観し,PLCsの観点からその意義について若干の考察を加えた。 第二に,PLCsをめぐる議論の性質の違いを明確にするために,PLCsとしての学校に関する先駆的な研究機関であるテキサス州のサウスウェスト教育開発研究所(SEDL)の研究チームの文献(Huffman&Hipp,2003; Hipp & Huffman,2010)に着目して,その特徴を明らかにした。また3月には実際にSEDLを訪問して,PLCsとしての学校を支援する方策やツールと関わって,資料収集や聞き取り調査を行った。 第三に,PLCsとしての学校の実態を把握するために,テキサス州オースティン市におけるPLCsの事例校を訪問し、校長や教職員への聞き取りを通じて,その学校の特徴についての基礎的な調査を行った。
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