• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実施状況報告書

イギリスのARGによる「学習のための評価」論の研究

研究課題

研究課題/領域番号 24730656
研究種目

若手研究(B)

研究機関和歌山大学

研究代表者

二宮 衆一  和歌山大学, 教育学部, 准教授 (20398043)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード形成的評価 / 学習のための評価論 / ARG
研究概要

平成24年度の研究目標は、ARGが提唱する「学習のための評価」論の教育評価論としての意義を明らかにするために、ブラックやウィリアムが中心となって行った形成的評価論の研究を検討することであった。
この目標を達成するために、平成24年度は、ARGの「学習のための評価」論の土台を築いたとされる2種類の調査研究を検討した。一つめは、1998年にブラックとウィリアムが発表した論文「Assessment and Classroom Learning」と「Inside the Black Box」である。これらは、彼らの形成的評価研究の成果をまとめたものであった。二つめは、形成的評価研究によって得られた知見を実践の中で検証し、形成的評価論の再理論化をはかることを目的に行われた研究プロジェクト「KMOFAP(King’s-Med-way-Oxfordshire Formative Assessment Project)」である。このプロジェクトの成果は、『Assessment for Learning:Putting it into practice』および「Working inside the Black Box」にまとめられ、公刊されている。
本年度は、上記のブラックとウィリアムの形成的評価研究を検討することで、形成的評価論とARGの「学習のための評価」論の関係を明らかにすることで、「学習のための評価」論の教育評価論としての意義を考察した。そして、その成果を下記のように公表した。
①二宮衆一「イギリスのARGによる『学習のための評価』論の考察」『教育方法学研究』日本教育方法学会、2012年に投稿、査読を経て掲載決定。
②二宮衆一「『学習のための評価』から『学習としての評価』への展望―形成的評価論の新たな展開―」、教育目標・評価学会中間研究集会、於京都教育大学、2012年6月9日。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成24年度の研究目標は、ブラックやウィリアムが中心となって行った形成的評価論の研究を検討することで「学習のための評価」論が形成的評価論の何を継承し、何を克服しようとしたのかを明らかにすることであった。
この目標を達成するために、平成24年度は、ブラックとARGの「学習のための評価」論の土台を築いたとされるブラックとウィリアムの形成的評価研究の検討を中心に研究を進めた結果、形成的評価論とARGの「学習のための評価」論の関係、そして「学習のための評価」論の教育評価論としての意義を明らかにできた。
そして、その成果を「『学習のための評価』から『学習としての評価』への展望―形成的評価論の新たな展開―」として教育目標・評価学会中間研究集会にて発表すると共に、「イギリスのARGによる『学習のための評価』論の考察」という題目で日本教育方法学会の『教育方法学研究』に投稿し、査読の上、掲載されることが決定した。

今後の研究の推進方策

本研究では、ARGの「学習のための評価」論の内実と意義を明らかにするために、4つの研究課題を当初設定した。
(1)「学習のための評価」論と形成的評価論の関係を明らかにすること。(2)「学習のための評価」論が、それ以前のイギリスの教育評価研究の何を継承しているのかを考察すること。(3)「学習のための評価」論が、構成主義や活動理論といった学習論にもとづき理論を構築しようとしていることの意義を検討すること。(4)スコットランドの事例を検討することで、「学習のための評価」と「学習の評価」の関係性を検討し、教育評価システムとして「学習のための評価」を構築する課題と展望を考察することである。
平成24年度の研究によって(1)の研究課題は達成されたため、今後は(2)(3)(4)の研究課題に着手していく予定である。ただ、平成24年度の渡英にて研究協力をえられたマンチェスター・メトロポリタン大学のハリー・トーランス教授からイギリスおよびアメリカにおける「学習のための評価」論の進展について助言をいただいたため、(4)をスコットランドにのみ焦点化するのではなく、イギリスおよびアメリカにおける「学習のための評価」論の展望と課題と位置づけなおし、今後、研究を進めていきたい。

次年度の研究費の使用計画

平成25年度は、「学習のための評価」論が、社会構成主義や活動理論といった学習論にもとづき理論を再構築しようとしていることの意義を検討する予定である。
そのため、『Student Assessment and Testing』などの近年の教育評価研究に関する著作や論文の購入や貸借の費用、そして資料調査のための国内旅費、資料収集と意見交換のための渡英費用を主な研究費の使途とする予定である。渡英の際の訪問先としては、マンチェスター・メトロポリタン大学のハリー・トーランス教授、グラスゴー大学のルイス・ヘイワード教授、ロンドン大学名誉教授ジョン・ホワイト氏を予定している。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2013 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 「イギリスのARGによる『学習のための評価』論の考察」2013

    • 著者名/発表者名
      二宮衆一
    • 雑誌名

      『教育方法学研究』

      巻: 38巻 ページ: 97-107

    • 査読あり
  • [学会発表] 「『学習のための評価』から『学習としての評価』への展望―形成的評価論の新たな展開―」

    • 著者名/発表者名
      二宮衆一
    • 学会等名
      教育目標・評価学会中間研究集会
    • 発表場所
      京都教育大学

URL: 

公開日: 2014-07-24  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi