研究課題/領域番号 |
24730656
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研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
二宮 衆一 和歌山大学, 教育学部, 准教授 (20398043)
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キーワード | 教育評価 / 形成的評価 / 学習のための評価 / ARG / イギリス |
研究概要 |
平成25年度に行った研究によって、「学習のための評価」としての形成的評価論の特徴と意義をさらに明らかにできたと同時に、「学習のための評価」論が、社会構成主義や活動理論といった学習論にもとづき理論を構築していることの意義も部分的に明らかにすることができた。 「学習のための評価」としての形成的評価論は、社会構成主義や活動理論の学習論にもとづくことで従来の形成的評価論に比べ、次のような2点の特徴を持つと考えられる。1点目として、例えばスワフィールドが「学習のための評価」は「今」「ここ」「即時性」を強調すると述べているように、教師と子ども、あるいは子ども同士の即時的な対話を重視する。そのため、「学習のための評価」としての形成的評価論は、子どもたちの学力を視覚化するための新たな評価方法の開発よりも、むしろ発問や対話などに注目し、研究を進めてきたといえる。 2点目として、「学習としての評価」という言葉に象徴されるように、「学習のための評価」としての形成的評価論は、評価活動そのものを学習の場として位置づけることを新たに提案している。評価活動を学習の場とすることでメタ認知能力を育成するという、この新たな提案も社会構成主義の学習論によって導かれたものである。この提案に示されるように、「学習のための評価」としての形成的評価論は、学習の成功というよりは、むしろ学習者としての成長に研究の焦点をあてつつあると考えられる。 これらの研究成果については、二宮衆一「形成的評価論の新たな展開」教育方法学会編『教育方法学研究ハンドブック』学文社、2014年発刊予定においてまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、ARGの「学習のための評価」論の内実と意義を明らかにするために、4つの研究課題を当初設定した。 (1)「学習のための評価」論と形成的評価論の関係を明らかにすること。(2)「学習のための評価」論が、それ以前のイギリスの教育評価研究の何を継承しているのかを考察すること。(3)「学習のための評価」論が、構成主義や活動理論といった学習論にもとづき理論を構築しようとしていることの意義を検討すること。(4)スコットランドの事例を検討することで、「学習のための評価」と「学習の評価」の関係性を検討し、教育評価システムとして「学習のための評価」を構築する課題と展望を考察することである。 これまでの研究によって(1)、そして部分的には(2)(3)の研究課題が達成できた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究のテーマであるARGの「学習のための評価」論の内実と意義を明らかにするために当初設定した課題のうち、「学習のための評価」論が、構成主義や活動理論といった学習論にもとづき理論を構築しようとしていることの意義を検討すること、そしてスコットランドの事例を検討することで、「学習のための評価」と「学習の評価」の関係性を検討し、教育評価システムとして「学習のための評価」を構築する課題と展望を考察することが残されている。ただし、後者の課題については、マンチェスター・メトロポリタン大学のハリー・トーランス教授の助言にもとづき、イギリスおよびアメリカにおける「学習のための評価」論の展望と課題と位置づけなおし、現在、研究を進めている。 平成26年度は、上記の2つの課題についての研究を進めていく予定である。まず前者の課題については、社会構成主義の学習観にもとづく形成的評価論を主張している、トーランス(H.Torrance)、ブライアー(J.Pryor)ジェームス(M.James)らの論文や著作を検討していく。後者については、形成的評価と総括的評価の関係をまず検討する必要があるため、ハーレン(W.Harlen)やニュートン(P.Newton)らの論文や著作を検討していく予定である。
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