研究課題/領域番号 |
24730658
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
井上 美香子 九州大学, 大学文書館, 助教 (30567326)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 大学史 / 高等教育史 / 一般教育 / 新制大学史 / 大学教育 / 教養教育 |
研究概要 |
平成24年度研究実施計画に基づき、以下の作業を実施した。 (1)九州大学大学文書館にて、九州地区一般教育研究協議会の一次史料群の調査とその収集を行った。収集した史料をもとに、所蔵状況と協議会の議事内容の仮目録を作成した。 (2)広島大学文書館および広島大学図書館にて、中国及び四国地区一般教育研究協議会の一次史料群の調査を実施した。また、同協議会の史料の所蔵状況と議事内容の仮目録を作成した。 (3)近畿地区一般教育研究協議会の関係史料については、大阪大学アーカイブズにて史料の所蔵が無かった。そこで、史料の所蔵について引き続き調査したところ、同協議会の史料が京都大学の人間・環境学研究科・総合人間学部図書館にて所蔵している情報を入手した。調査の末、同協議会の史料の所蔵状況を把握することができた。 以上の史料調査の結果、今年度研究計画にて予定していた、九州地区、中国・四国地区、近畿地区の各協議会記録関係史料の残存状況を把握するための仮目録を作成することができた。また、九州地区、中国・四国地区の各協議会の議事内容の目録を作成したことにより、同地区における一般教育研究協議会の具体的な活動内容を明らかにすることができた他、一般教育の導入をめぐり問題とされていた事柄や抱えていた課題の一端を把握することができたと考えている。上記地区における一般教育研究協議会関係史料の残存状況、議事内容の把握により、研究の継続期間内に結果を出すための基礎作業の一部を成すことができたという感触を得ている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度は、九州地区一般教育研究協議会、中国・四国地区一般教育研究協議会、近畿地区一般教育研究協議会に関する史料の残存状況を把握し、その議事内容から各地区の一般教育研究協議会の活動内容を明らかにすることを目標としていた。今年度の「研究の目的」を達成していると考える理由は以下のとおりである。 (1)九州地区一般教育研究協議会、中国・四国地区一般教育研究協議会、近畿地区一般教育研究協議会のそれぞれの仮目録を作成し史料残存状況を把握することができた。 (2)九州地区一般教育研究協議会、中国・四国地区一般教育研究協議会について、議事内容を目録化し、具体的内容を把握することができた。 (3)特に、九州地区一般教育研究協議会についてはこれまで、史料が残存しているのかどうかすら明らかではなかった。今回、九州地区一般教育研究協議会の史料の存在およびその残存状況が明らかとなり、同協議会の具体的な活動内容までも把握することができた。 計6つある地区一般教育研究協議会のうち、今年度は計画通りに3つの地区一般教育研究協議会について、史料状況とその具体的内容を把握することができた。このことにより、新制大学形成史を考察する上で、非常に重要である一般教育の導入過程を考察するための基礎作業ができたと考える。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度実施した、九州地区一般教育研究協議会、中国・四国地区一般教育研究協議会、そして近畿地区一般教育研究協議会に関する調査結果の成果を踏まえ、次年度以降は以下の方策で研究をすすめる。 平成25年度は、関東地区一般教育研究協議会、名古屋及び東海地区一般教育研究協議会について史料調査を実施し、その活動内容の詳細に迫ることを目指す。前者については、東京大学附属図書館にて調査を行い、後者については名古屋大学大学文書史料室にて調査を実施する。史料調査後、史料の残存状況と議事内容に関する仮目録を作成する。なお、平成24年度の研究成果を比較検討の軸に据えることで、関東地区、名古屋・東海地区の各地区一般教育研究協議会の活動の特徴をより明らかにする。 以上の成果を踏まえ、平成26年には、北海道大学大学文書館および北海道大学附属図書館にて、東北地区及び北海道地区一般教育研究協議会の史料調査を実施し、同様に仮目録を作成する。 なお、平成27年度には、前年度までに明らかとなった各地区一般教育研究協議会の活動内容の全体像を踏まえ、第二次一般教育研究委員会の関係史料の調査を実施する。加えて、前年度までの成果を踏まえたうえで同委員会の活動とその影響について考察することで、「大学教育」の形成過程を明らかにする。以上の研究成果として、最終年度である平成27年度には報告書にまとめる。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は、関東地区一般教育研究協議会、名古屋及び東海地区一般教育研究協議会について、それぞれ、東京大学附属図書館、名古屋大学大学文書史料室や名古屋大学附属図書館にて史料調査を遂行する。史料調査については、史料の残存状況の調査と史料の撮影が必要であることから、数回にわたる調査を要する。 また、関東地区一般教育研究協議会、名古屋及び東海地区一般教育研究協議会に関する史料について、不足史料の補てんを要する可能性がある。その場合には、速やかに大学基準協会にて調査を実施することが求められる。 なお、仮目録の撮影、データ入力を遂行するためのアルバイトの雇用は必要不可欠である。特に、関東地区一般教育研究協議会については組織の規模が若干大きい。そのため、前年度よりも目録作成のためのデータ入力などに時間を要することが予想されることから、アルバイトの雇用も平成24年度よりも若干名増やす必要がある。 以上から、次年度は特に、史料調査のための旅費、史料整理・データ入力のための人件費、そして仮目録を作成・印刷するための物品費・その他の費用を要する。
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