研究課題/領域番号 |
24730659
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
伊藤 奈賀子 鹿児島大学, その他部局等, 准教授 (10387459)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | カリキュラム論 |
研究概要 |
本年度は文献研究を中心として、高等教育カリキュラム研究の現状と高等教育段階における日本語リテラシー教育に関する研究状況把握に努めた。 日本語リテラシー教育の内容に関しては、カリキュラムポリシーに則った形で開講することが充分に行われていないことが確認できた。しかしその一方で、初等・中等教育との接続が充分でなく、必要な日本語リテラシーを身に付けることができないまま大学に入学することが一般的である日本の教育体系を踏まえた場合、大学初年次の学生に対して特別な科目を設けて日本語リテラシー教育を行うことは必要であることも明らかになった。つまり、日本語リテラシー教育を目的とした科目の必要性は確認されたものの、その内容がカリキュラムポリシーに沿う形となっていないことが現在の問題であることが明白となった。 体系的な日本語リテラシー教育のためのカリキュラム構築に関しては、各科目の教育内容に踏み込むことは困難であることから、学修目標に明示すること、成果を確認できる評価方法を導入することの必要性を認識するに至った。具体的には、教育内容や教育方法ではなく、成績評価項目の中に日本語リテラシーの到達度を含めることにより、日本語リテラシー教育の体系性を構築するものである。教育内容に関して日本語リテラシー教育科目と他科目との間に関連性を持たせるのは困難である。それに対して、ディプロマポリシーなど教育目標の中に日本語リテラシーに関する項目を位置付け、その達成度を測るための方法として各科目の評価項目の中に日本語リテラシーに関する内容を含めることは、これまでにも評価方法としてレポート作成等が数多く課されてきたことからも実現可能であると考えられる。その検証は次年度の課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
体系的な日本語リテラシー教育を行うためのカリキュラムをいかに実現するかについて、教育内容や方法ではなく評価に注目することの意義を明らかにできた点で、研究としては順調に進展したものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度に明らかにした内容についてさらに精査を行い、平成25年度は論文作成および学会発表の形で成果を積極的に公開し、他者からの意見を取り入れつつさらに研究を進展させる。 また、平成25年度は実際に体系的な日本語リテラシー教育を目的とした成績評価の体系化について、具体的な実践としてどのように実現するかについても検討していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
学会発表のための交通費、文献研究のための書籍費が中心となる。また、平成25年度が最終年度に当たることから、論文作成を進めるとともに、最終的には成果報告書として完成させるため、そのための印刷・校閲費として使用予定である。
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