研究課題/領域番号 |
24730665
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研究機関 | 秀明大学 |
研究代表者 |
岡 敬一郎 秀明大学, 人文社会・教育科学系, 講師 (90449968)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 教育行政 / 戦後教育改革 / 南原繁 / CIE文書 |
研究概要 |
本研究は、戦後教育行政改革における教育行政の専門性に関する論議を検討する一環として、南原繁の戦後教育行政改革構想について考察することによって、教育行政制度の今日的あり方を歴史的視点から問い直すことを目的とする。 南原繁は、戦後教育改革期において、田中耕太郎の大学区構想が文部省による新たな集権化の危険性を持つことを批判し、公選制教育委員会の導入を支持した。しかし、従来の教育行政研究は、彼がいつから教育委員会制度を支持し、CIEとどのような交渉を行ったのか、またこの支持を可能にした思想的背景はどのようなものだったのかなどについて、必ずしも明らかにしてこなかった。これらの課題を解明する方法の一つとして、本研究では戦後教育改革期に活動した占領軍側諸機関の記録類からCIE文書を取り上げて分析し、CIEとの交渉という側面から南原の戦後教育行政改革構想について考察する。 平成24年度は、以下の二点から研究を進めた。第一に、戦後教育行政改革に関する文献調査である。戦後教育行政改革に関する研究の蓄積を俯瞰し、最新の研究動向を把握すると同時に、占領軍側の記録を用いた研究の手法を習得するため、文献調査を実施した。第二に、CIE文書の分析である。国立国会図書館東京本館において、憲政資料室所蔵「日本占領関係資料」の「民間情報教育局文書」(GHQ/SCAP Records, Civil Information and Education Section(CIE)、資料形態:マイクロフィッシュ、数量:31,052枚、主言語:英語)を閲覧し、本研究に関連する資料を収集・分析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
第一に、戦後教育行政改革に関する文献調査として、(a)図書の購入、(b)各図書館での資料収集、(c)学会への参加を実施した。(a)については、公刊されている図書のなかから本研究に関連する文献を購入し、分析を進めている。(b)については、国立国会図書館東京本館(東京都千代田区)と千葉大学附属図書館本館(千葉県千葉市)において本研究に関連する文献を閲覧・複写した。また国立国会図書館関西館(京都府相楽郡精華町)において、科学研究費補助金による研究の報告書や博士論文などを閲覧・複写した。(C)については、日本教育学会、教育史学会、日本教育行政学会の研究大会において、本研究に関連する研究発表を聴講し、資料を収集した。 第二に、CIE文書の分析として、国立国会図書館東京本館憲政資料室においてReport of Conferenceを閲覧・複写した。 第三に、南原繁が富山県射水郡長として尽力した射水郡立農業公民学校の設立に関する情報を得るため、新聞ライブラリー(神奈川県横浜市)において関連する資料を閲覧・複写した。
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今後の研究の推進方策 |
第一に、戦後教育行政改革に関する文献調査である。平成24年度に続いて、戦後教育行政改革に関する文献調査を実施する。公刊されている図書の購入、東京都内の各図書館および国立国会図書館関西館における関連文献の閲覧・複写、関連学会における研究発表の聴講、資料収集である。 第二に、CIE文書の分析である。平成24年度に続いて、CIE文書の分析を実施する。国立国会図書館東京本館において憲政資料室所蔵のCIE文書を閲覧し、関連資料を収集・分析する。とくに注目したいと考えているのは、南原繁自身が教育刷新委員会の副委員長・委員長として参加し、文部省やCIEの代表者と直接交渉にあたった「アパー・レヴェルのSteering Committee」に関する記録である。 第三に、射水郡立農業公民学校の設立に関する資料の収集・分析である。平成24年度に続いて、新聞ライブラリーでの関連資料の閲覧・複写を実施するとともに、富山県立図書館(富山県富山市)や法政大学大原社会問題研究所(東京都町田市)において、本研究に関連する資料を収集・分析したいと考えている。 第四に、研究成果の発表である。平成24・25年度の調査結果に基づき、日本教育行政学会、日本教育制度学会、教育史学会など、本研究と関連する学会において、研究成果を発表する。さらに、研究成果を研究論文にまとめて発表したいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品費として150,000円を計上する。戦後教育行政改革関係図書および資料整理ファイルの購入に使用する。 旅費として250,000円を計上する。各図書館における資料集および学会参加のための交通費として使用する。 その他として100,000円を計上する。主に複写費として使用する。
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