研究課題/領域番号 |
24730668
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
柴田 彩千子 帝京大学, 教育学部, 准教授 (20366800)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 社会教育学 / 地域社会と教育 / 成人学習論 / 子ども支援論 / 市民活動論 |
研究概要 |
本研究は、東日本大震災の被災地の復興に向けて行われている子どもを対象とした市民による支援活動に着目し、次の3点に取り組むものである。①地域の大人たちによって構成されるNPOおよび市民活動団体が震災復興をめざして実践する様々な教育事業の実態を、明らかにすること。②上述の①の事業に取り組む大人たちが、学習支援者としての力量を形成していくうえでのプロセスを明らかにする。さらに、事業を実施することを通じて得られた新たな学び、獲得された力量、等を明らかにすること。③上述の①と②から得られたデータを踏まえ、震災復興に向けて行われた大人たち(地域在住者と地域外在住者)による子ども支援の多様な取り組みが、「地域の教育力」が構築されるうえで、どのような役割を果たしたかを検証すること。 今年度は、研究目的①を達成するために、岩手県における子ども支援活動の実態を中心に、その事業についての調査を実施した。調査活動の実施に際して、予め20団体をピックアップし、平成24年度は16団体について、インタビュー調査および参与観察調査などを実施した。調査を行う上での視点は、次のの8点とした。 1:インタビュー対象者の情報、2:団体のプロフィール(組織について、事務局体制、活動理念など、3:団体のこれまでの主な活動実績、4:被災地における子ども支援事業の内容、5:被災地における子ども支援の考え方(子どもへの支援をどのように捉えているか)、6:被災地支援を実施するに際しての外部組織との連携について、その他(現代の子ども観、教育観など、特筆すべき点)、8:収集資料リスト) 被災地を取り巻く様子は刻々と変化し、それにともなって必要な子ども支援の内容も変化している。震災直後から2年間を経過した時点で実践された子ども支援の活動内容の足跡を残ことにも、本研究は寄与することができたものと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度から取り組み始めた本研究は、現時点でスタートしてから1年が経過した。進捗状況は、上述の「研究実績の概要」のとおりである。平成24年度は、なるべく多くの子ども支援活動に取り組む市民活動団体の情報を収集し、インタビュー調査や参与観察調査を実施してきた。25年度も継続して、このような市民活動団体に対する調査活動を行っていくものの、現時点で、概ね研究目的①(地域の大人たちによって構成されるNPOおよび市民活動団体が震災復興をめざして実践する様々な教育事業の実態を、明らかにすること)については達成された。 研究目的②(上述の①の事業に取り組む大人たちが、子ども支援の支援者としての力量を形成していくうえでのプロセスを明らかにする。さらに、事業を実施することを通じて得られた新たな学び、獲得された力量、等を明らかにすること)については、これまでに実施してきた調査活動で集めたデータより、現在のところ半分程度は解明されている。次年度(平成25年度)は、この研究目的②について、これまで集めたデータをもとに、丁寧に分析していくことで、研究目的の達成を図りたい。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、研究目的①と研究目的②を達成するために、次に挙げる課題に取り組む予定である。 1:子ども支援を行う市民活動団体について、調査対象地域である岩手県における調査活動を継続的に行う。特に、調査活動の実施に際して、予めピックアップした20団体のうち、まだ4団体の調査が未実施のため、この4団体の調査を、平成25年度の8月までに終了させる。 2:研究目的②について、これまで集めたデータをもとに、丁寧に分析していくことで、研究目的の達成を図りたい。その際に、調査を実施した20団体についての『活動報告書』をまとめ、調査対象団体の活動に関わった人々(インタビュー対象者を中心に設定)に参加してもらい、研究会(情報交換会)を行うことで、子どもに対する「支援者」としての力量について共有する機会を設けることを、視野に入れている。
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次年度の研究費の使用計画 |
旅費について:岩手県をフィールドとした調査研究のため、現地に幾度も脚を運ぶことが必須である本研究は、東京・岩手間の往復交通費が、夏期・春期休暇中4回(各2回)分、およびほかの期間において3回分必要となる。また、現地に在住する研究協力者2名が現地調査に動向するため(3回程度)、2名分の岩手県内を移動する交通費が必要である。 謝金について:インタビュー調査のデータを整理するうえで、合理的に研究を遂行するため、インタビューの文字化作業を研究協力者に実施してもらう。そのための謝金が必須となる。また、研究会を開催しながら、今年度は研究を遂行していくため、研研究代表者が議論に集中できる環境をつくるために、研究会の記録に係る謝金が必要となる。 会議費について:研究会の開催に係る費用(会場使用料、参加者への謝礼、通信費、資料代、等)が必要である。
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