研究課題/領域番号 |
24730668
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
柴田 彩千子 帝京大学, 教育学部, 准教授 (20366800)
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キーワード | まちづくり / 成人学習論 / NPO / 震災復興 / 子ども支援 / 地域社会と教育 / 社会教育学 |
研究概要 |
本研究は東日本大震災の被災地の復興に向けて行われている子ども支援を対象とした多種多様な支援活動に着目し、次の3点に取り組むものである。①地域のおとなによって構成されるNPOをはじめとした市民活動団体が震災復興をめざして実践する様々な教育事業の実態を明らかにすること。②上述の①の事業に取り組むおとなが、子ども支援を行う力量を形成するプロセスを明らかにし、さらに、事業を実施することを通じて得られた新たな学び、獲得された力量を明らかにすること。③上述の①と②の取組か、「地域の教育力」を構築していくうえで果たす役割を明らかにすること。 平成24年度には研究目的①をほぼ達成したので、その成果を学会において報告を行った。(「被災地における子ども支援事業を行う成人の学び―子ども支援事業の実態調査より」、発表者:柴田彩千子、日本社会教育学会第60回研究大会、平成25年9月28日、於:東京学芸大学)。平成25年度には、さらに多くの事例を調査しその結果を精緻化するために、引き続き、岩手県および宮城県において子ども支援の活動を行う団体(10団体)についての資料収集、インタビュー調査、参与観察調査を実施した。その成果を平成26年度に開催される学会大会において報告する予定である。 平成25年度には、研究目的②についての分析を行った。被災地といっても、地域の特性、被災の程度、子ども支援に携わるおとなの資質や経験等によって、おとなが獲得した「新たな学びや子ども支援の力量」の内容が多様であることが明らかとなったものの、共通することとして、どの団体も「震災後のコミュニティの形成・地域づくり」の必要性を痛感しており、地域づくりの視点から、現在では活動を展開していることが明らかとなった。この詳細については、平成26年度に発表する論文や学会報告においてまとめる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では3つの研究目的(「研究実績の概要」欄に記載)を設定しているが、そうちの2つ(研究目的①②)は概ね達成している。 本研究3年目となる平成26年度には、。研究目的②(研究目的①で調査を行った団体が、子ども支援を行う力量を形成するプロセスを明らかにし、さらに、事業を実施することを通じて得られた新たな学び、獲得された力量を明らかにすること)について、さらに精緻な分析を行うことと、研究目的③(研究目的①の調査対象団体の取組が、「地域の教育力」を構築していくうえで果たす役割を明らかにすること)を、考察していく。
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今後の研究の推進方策 |
本研究3年目の平成26年度は、主に研究目的③を達成するために、次に挙げる課題を遂行する。 1.研究目的②(研究目的①で調査を行った団体が、子ども支援を行う力量を形成するプロセスを明らかにし、さらに、事業を実施することを通じて得られた新たな学び、獲得された力量を明らかにすること)について、さらに精緻な分析を行うため、これまでの調査対象団体のデータを総合的に整理する(調査団体について、事例集として報告書にまとめる作業を行う)。報告書にまとめる際には、調査対象団体に対して、調査内容を再確認する作業が必要となることが予測される。 2.研究目的③(研究目的①の調査対象団体の取組が、「地域の教育力」を構築していくうえで果たす役割を明らかにすること)を達成するため、被災地において、子ども支援に取り組む団体や個人による研究交流会を開催し、子ども支援の活動から得られた知見や課題を共有し、今後の活動指針について意見交換を行う機会を設定する。 3.本研究の調査対象団体の関係者にアンケート調査を実施し、「被災地における地域の教育力」を構築するための条件を、どのように考えているかを問う。これについての分析作業は平成27年度にかけて実施することになるかもしれないものの、本研究の成果を報告書に総合的にまとめる。
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次年度の研究費の使用計画 |
3年間計画の研究の2年目にあたる当該年度では、1年目に実施したフィールド調査の補足の調査を実施した程度であり、分析作業に関しても研究代表者が実施したので、特に人件費がかからなかった。研究3年目となる次年度には、繰越金を有意義に使用する予定である。 最終年度にあたる次年度は、研究報告書の作成にかかる費用(アンケート調査の実施にかかる費用、その分析にかかる費用や、研究支援員の人件費など)、研究会の開催にかかる費用など、前年度よりも多額の研究費を要するため、繰越金額を有意義に使用する予定である。
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