研究概要 |
1.研究目的:本研究の目的は、「災害弱者」としてケアの客体と捉えられてきた子ども・子育て期の親が、災害復興の主体となるために、支援者が有すべき専門性を実証的に明らかにすることである。 2.研究方法:平成25年度は、具体的に以下の方法で研究を遂行した。(a)文献調査では、国連の災害復興と子どもの権利保障にかかわる文献を中心に読み解いた。(b)子ども・子育て支援者へのインタビュー調査は、第2期・第3期インタビュー調査を実施した。具体的な調査・データ処理・分析方法は24年度と同様に、半構造化インタビューを実施、音声データは文字化し支援者が「ゆらぎ」を感じるポイントを中心に定性的コーディングを行い、実践知を析出させるという方法を採った。 3.研究成果:災害復興期の子ども・子育て支援者の専門性として従来重要視されてきたのは「子どもの心のケア」の専門性であった。しかし、本研究の結果、「子ども参加支援」に専門性が浮上した。たとえば、乳幼児は「津波ごっこ」「地震ごっこ」という遊びへの参加を通して、自分ではコントロール不可能な現象を、コントロール可能なものへと再構築することで回復していった。小中高生世代は「子どもまちづくりクラブ」におけるまちづくりへの参加を通しておとなから頼られ、責任を果たしていくことで自身や達成感を得て、回復していくありようが見えてきた。災害復興期における子ども参加の支援とは、換言すれば、子どものレジリエンス(自己回復力)を支えることである。研究成果は、こども環境学会、日本教育学会、日本社会教育学会で発表したほか、成果をわかりやすくまとめたパンフレット「災害・復興期に子ども支援をする人へ」を1000部作成した。パンフレットは、首都圏を中心に、子ども・子育て支援をしている団体(NGO/NPO,ボーイスカウトなど)を中心に配布した。
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