社会化による個性化という自己形成は、相互主観性にもとづく自己形成をどのように捉えるかに眼目がある。相互主観性による自己形成は目に見えることではない。そのため、子どもの成長プロセス、コミュニケーションと相互性、承認という媒体を経ることによって、自己の発展に寄与する承認と世界を切り開くコミュニケーションが織り重なる自己形成の場所を提示することができる。相互主観的な関係における傷つきやすさを含みいれた自己形成論は、自己実現にともなう苦悩や葛藤の現れを語る行為から示され、反応の多様性から考察される必要がある。その射程は、民主的な意志形成に広がる。
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