研究課題/領域番号 |
24730673
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研究機関 | 八洲学園大学 |
研究代表者 |
塙 武郎 八洲学園大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (90434422)
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キーワード | 学校区の自主財源と配分基準 / 州教育均衡交付金と学校区間再分配 / 連邦教育補助金と貧困対策 / 内なるグローバル化 / 学校予算編成と少人数教育体制モデル / 短期租税引当債(TAN) |
研究概要 |
平成25年度は、前年度に引き続きニューヨーク市等の大都市における学校区の分権性と、それとは無関係に進展するグローバル化という経済的圧力の高まりの中で、どのような初等中等教育の財政運営を実施し、政策的意義と効果を体現しているのかを中心に検討した。 ニューヨーク市教育局(全米最大の学校区)の事例研究では、市を構成する5行政区の一つ「クィーンズ行政区」において、大量のヒスパニック系移民が通う小中学校を事例に取り上げたうえで、言語教育プログラムを強化する学校予算編成、すなわち教育効果を高める目的で少人数教育の体制を基本モデルとした学校予算を運用していることを明らかにした。 ニューヨーク州政府の教育補助金については、学校区の自主財源(地方財産税)の確保する力(学校区比率)に応じて傾斜配分する仕組みになっていることを確認した。この仕組みによりニューヨーク市教育局の一般基金に州教育補助金が投入され、州の定める基準値を満たしてはいるが、しかし大規模小中学校での多様化した教育ニーズに対応できるほどの財源確保にはいたっておらず、上記の少人数教育の体制モデルによる学校区予算編成は、実質的には効力を失っているケースも多々あることを指摘した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ニューヨーク市教育局を事例に取り上げてグローバル化に対応する分権システムの学校区財政の構造分析を行う中で、学校区の自主財源確保とその配分基準、個々の学校の予算編成モデルの分析等を行うことができた。おおむね順調に進展しているといってよい。 ただしオバマ政権の教育改革の中心"Race to the Top"政策の詳細を具体的に検討する段階に十分入ることができなかったため、平成26年度は、これを中心に進める必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きニューヨーク市に加え、ロサンゼルス市学校区、シカゴ市学校区のグローバル対応策としての学校区財政運営、とくに個々の小中学校レベルでの学校予算編成の細部を分析する。 その際、学校区財政の実務者はもちろん、研究者、州議会当局、連邦教育統計センター等から情報取集を進め、さらに平成24年度、25年度に同様、米国での関係学会に参加して意見交換等を行う。そしてこの作業過程でオバマ政権の教育改革の中心"Race to the Top"政策について資料整理を行い、これを積極的に導入している学校区の代表事例をつかみ、事例分析を試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
主として人件費等として支出する機会を得られなかった。 主として人件費として配分する方向で計画する。
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