アメリカ初等中等教育の運営主体である学校区は、地方財産税(教育目的税)を課税徴収し、これを自主財源としている。州や連邦からの補助金は不可欠であるが、財政格差を平準化する制度設計になっていない。NYやLAやシカゴ等の大都市学校区では、財政格差の問題は構造的かつ深刻である。移民労働者を含む大量の貧困家庭の子供の教育ニーズは本来多様であるが、それを満足するには多くの財源と労力を必要とする。しかし現実はその自主財源は脆弱で、州も基準値を上限とする包括交付金を配分するだけである。連邦は貧困対策や言語教育の特定補助金を交付するが、多様な教育ニーズを満足せず、結果的に学校区間の財政格差が残されている。
|