本研究は、師範学校外の「学校」である公私立各種学校が、組織的に小学校教員養成に関与した事実に着目した。明治期以降、戦前期において小学校教員養成に関与した公私立各種学校は、本科教員養成のものに限っても90程度の事例がみられた。多くは郡など小学校教員需給の状態に関与する自治体による設置であったが、なかには全く個人的な設置にかかるものも存在した。それらは、個人的な趣旨から公立学校の教員養成に着手したものであり、「公」と「私」がせめぎ合うなかで存在したものとして注目される。また、公私立各種学校はその限定された機能のゆえに法制上も存在が可能であったのであり、必ずしも矛盾した存在ではなかったのである。
|