本研究は、現代の貧困問題を抱える子どもたちが多様な社会的背景から学びに参加し、十全な社会参加を保障する教育実践の構想を幼年期におけるリテラシー形成という視角から検討することを目的とした。オーストラリアの事例を通して分析を進めた結果、社会的公正の追求という文脈でリテラシー形成を図ることが重要であり、①徹底して子どもたちの社会経済的、文化的背景を足場とした学びを展開する取り組みの必要性、②教育内容として多文化、公正、他者性といった社会的論点を幼児期段階でも取り入れ、ことばの獲得と結びつけて展開する必要性が明らかになった。
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