平成26年度後半に実施した福岡県保育所連盟に加盟する認可保育所の保育士を対象とする質問紙調査の結果について分析し、同連盟研究部会の代表保育士と協議を重ねた結果、各保育所の立地条件・施設条件・勤務体制・教育保育方針等が非常に多様であり、身体活動向上のための統一されたカリキュラムを用いることは子どもの発達の個人差や園の独自性を損ないかねないという結論に至った。 一方で、これまでの研究において、保育者が抱える体を動かす遊びに関する問題として、身体的な発達や運動機能の発達に対して運動遊びがどう寄与するかが認識できにくいことが明らかとなっている。そのため、一つひとつの運動遊びや身体活動に意味を付与することが困難であり、単に運動遊びのレパートリーを増やすことに必要性を感じたり、発達に応じた運動内容について困難さを感じていた。 そこで本研究の目的である、保育現場における幼児の効果的な身体活動の展開方法について検討するに当たり、研究開始当初に志向していたカリキュラム作成ではなく、したい活動を伴った保育者が抱える課題を解決するための保育計画立案を支援するためのツールを開発することが必要であると考えるに至った。 そこで平成27年度は、運動遊びにおける幼児の運動量・運動機能・動きの多様性・活動の展開を指標として、PDCAサイクルの下、同ツールの開発を行った。その結果、最終的にツールでは、幼児の運動強度・動きの多様性・活動の展開の充実だけでなく、保育者の意識が変化し、発達的な意図を有する運動遊びが計画・実施されることが確認された。 また、海外の先駆的地域の実情や研究者との情報交換で得られた情報から、家庭や各園向けの啓発が効果的であることが明らかとなったため、研究結果の公表として家庭向けの広報を実施した。
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