研究課題/領域番号 |
24730684
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研究機関 | 西南女学院大学 |
研究代表者 |
上村 眞生 西南女学院大学, 保健福祉学部, 准教授 (30530050)
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キーワード | 保育士 / メンタルヘルス / ストレス |
研究概要 |
本年度は、保育士のメンタルヘルスの状況について、質問紙による量的な調査とインタビューによる質的な調査を実施した。量的な調査からは、保育士のメンタルヘルスの状況について、新人保育士の精神的疲労度が高いことが特に重要な問題点として明らかになった。また、ストレスに対しては、対処行動であるコーピングよりも個人が有するストレス耐性力であるレジリエンスで対処している保育士の方がメンタルヘルスの状態が良好であることが明らかとなった。さらに、保育士のメンタルヘルスに影響を与える要因として、「役割の曖昧さ」「自己効力感」があることが示唆された。 質的な調査からは、経験年数による関心の変化が明らかとなった。学生・新人保育士では、子どもとの関わりに大変さを感じ、中堅保育士では、クラス運営・職員間の関係性に大変さを感じ、ベテラン保育士では、保育所の組織運営に大変さを感じていることが明らかとなった。 以上の調査結果から、新人保育士に対するメンタルヘルスケアの必要性が明らかとなった。とりわけ、自己効力感が低く、子どもとの関係性を巧く気づけていないであろう新人期における、職場内のメンタルヘルスケアを検討することが有効であることが考えられる。その際、研究協力者である臨床心理士との協議から、新人保育士のレジリエンスを高める方略を検討することが、より有効であろうという結論に至った。よって、2014年度の研究では、この点に主眼をおいて進めていく。 一方、本年度予定していた海外の先駆的地域の視察については、研究協力を依頼していた海外の研究者の体調不良により、未実施となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
海外の先駆的地域の視察について、研究協力を依頼していた海外の研究者の体調不良により現段階で実施できていないため、やや遅れていると認識している。その他の研究については概ね予定とおり進行している。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究結果を基に、研究協力者である臨床心理士と検討を行い、2014年度は保育士のメンタルヘルスケアに取り組む予定である。その際、特にメンタルヘルスにおいて問題状況にあると考えられる新人保育士を対象として、ストレス耐性力を高める方略を検討する。とりわけ課題として抽出された、自己効力感を高める取り組み、子どもとの関係構築をテーマとした介入について検討する。 同時に、海外の先駆的地域における視察について、新たな研究協力者への依頼を行い、実施する。特に、保育者のメンタルヘルスに影響を及ぼしていると考えられる、研修体系、養成システム、キャリア構造について視察を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
海外の先駆的地域の調査のために旅費を計上していたが、研究協力を依頼していた海外の研究者の体調不良により、調査が実施できなかった。そのため、旅費およびそれに付随する通信費、消耗品費等の使用が困難となり、次年度への繰り越しの必要性が生じた。 新たに海外の先駆的地域の調査への協力依頼を行い、2014年度中にこれまで実施できなかった調査を実施する。そのための費用として使用する予定である。
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