研究課題/領域番号 |
24730685
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 南九州大学 |
研究代表者 |
大崎 裕子 南九州大学, 人間発達学部, 講師 (90513078)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 大正新教育 / 新教育運動 / 野口援太郎 / 野村芳兵衛 / 比較教育史 |
研究概要 |
本研究では、20世紀初頭に世界各地で広く展開された国際的新教育運動において、日本の大正新教育の位置づけを図り、その特質を明らかにすることを目的としたものである。具体には、大正新教育の一事例として、池袋児童の村小学校の理論と実践の関係を解明することを目指している。 本年度は、「受容」という側面に着目し、①「受容される教育情報がどのような背景で、どのように生成されたものか」、②「どのような過程を経て受容されるに至ったか」という二点を主軸に研究の基盤固めを行った。②に関しては、野口援太郎と新教育連盟との関係性を時系列に沿ってまとめる中で、日本における新教育連盟の実態についても整理することができた。 また、本年度より発足し毎月開催された日本の新教育思想研究会で、本研究に関わる研究報告を三度にわたって行った。毎回、報告後の討論では、大正期の日本の哲学界と新教育思想との関係性や、「自由」「自然」概念のとらえ方などについて多くの示唆を得ることができ、野口がなぜドクロリー教育法や「活動学校」論に魅かれたのかという課題の考察に新たな視点を加えることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
妊娠に伴う体調不良のため、研究の遂行に多大な影響が出た。切迫流産・切迫早産の危険があったため、航空機での移動による研究調査の出張や学会発表をキャンセルせざるを得なかったことが大きな要因である。とくに10月14日に教育思想史学会では「歴史と思想のあいだ―新教育を素材に教育思想史の可能性を探る―」と題して発表を行う準備を進めていたが、断念せざるを得ない状況となった。 ただし、平成24年度前半までに収集することができた資料をもとに、研究の基盤となるデータ作りは継続して行うことが出来た。本研究に必要なドクロリー教育法及びアドルフ・フェリエールによる「活動学校」論に関する先行研究の整理や、国会図書館等の資料からの関係資料収集なども、ある程度目途をつけることは出来た。
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今後の研究の推進方策 |
まずは、平成24年度に妊娠に伴う体調不良のためにキャンセルせざるを得なかった資料調査を実行したい。とくに、野口援太郎の蔵書や執筆原稿の類が所蔵された神戸大学人間科学図書館大西文庫、野村芳兵衛の日記等が残されている岐阜県歴史資料館での調査を早期に行う必要があると考えている。 さらに、野口が立ち上げた新教育連盟と、世界教育協会との関わりを考察するための資料収集や分析も継続して行う。 実施計画で予定していた通り、受容された情報はどのように実践にうつされたのかという観点に重きを置き、野村芳兵衛の教育実践にスポットをあて、その内実を明らかにする。 また、従来の研究で部分的紹介にとどまっていた新教育連盟とのかかわりという視点からの再検討を行うことで、国際的な新教育運動の潮流の中での日本の大正新教育の位置づけを図るという課題を達成したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
上記にも記したとおり、平成24年度には、妊娠に伴う体調不良のため、研究の遂行に多大な影響が出た。切迫流産・切迫早産の危険があったため、航空機での移動による研究調査の出張や学会発表をキャンセルせざるを得なかったことが大きな要因である。とくに10月14日に教育思想史学会では「歴史と思想のあいだ―新教育を素材に教育思想史の可能性を探る―」と題して発表を行う準備を進めていたが、断念せざるを得ない状況となった。 そのため、平成24年度に遂行できなかった分も含め、研究費の約三分の二は、主に資料調査のための出張費として使用させていただく。 また、その成果を学会で研究発表するための旅費としても使用したい。 さらに、国会図書館はじめ他大学図書館での文献複写費や、大正新教育、野口援太郎、野村芳兵衛に関連する書籍の購入費として使用し、もらすことなく新教育にまつわる研究動向を把握し、国際的な新教育運動の潮流の中での日本の大正新教育の位置づけを図るという研究課題の達成を目指す。
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