研究課題/領域番号 |
24730690
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 大阪芸術大学短期大学部 |
研究代表者 |
森岡 伸枝 大阪芸術大学短期大学部, その他部局等, 講師 (20448187)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 家庭教育政策史 / 社会教育史 / 母の講座 / 婦人教育 |
研究概要 |
平成24年度は、資料収集調査をし、それをもとにして口頭発表を行い、論文を執筆・提出した。 本年度の前半は、奈良女子大学附属図書館に日参し、『校史関係資料』の中から「母の講座」に関連する文書、会議録、受講者からの手紙など未刊行の文書史料をはじめとする貴重な資料の収集に努めた。また、書店・古書店にも通い、昭和初期の家庭教育に関する書籍を可能な限り収集した。 そして本年度後半は国立国会図書館へ向かい、「近代デジタルライブラリー」を利用して全国で開催された「母の講座」の開催状況を調査し、それに関連する貴重な資料を収集した。 その後、収集資料の歴史的価値を明確にしていくため、論文の執筆に取組み、第1次世界大戦後の国家による家庭教育政策(文部省と内務省による)について考察し、文部省が「婦人講座」に加えて、新たに「母の講座」の開設を始めた政治的背景を把握することに努めた。その研究成果の一部については、口頭発表を行った(題目「第1次世界大戦後における絵本の改善政策について-家庭教育の役割の変容に着目して-」於大阪芸術大学短期大学部「学内研究発表会」11月17日)。本発表の場では教育史、保育学、児童文学など多様な専門分野の先生方から様々なご指摘を頂戴することができた。ゆえに、本発表はこれまでの自分の研究手法、内容を再度見直す、またとない機会となった。その後、同発表タイトルで論文を執筆し、加筆修正・投稿するに至った(大阪芸術大学短期大学部『大阪芸術大学短期大学部紀要』第37号、平成25年)。 以上のことから、平成24年度は、積極的に研究を遂行することができたといえる。家庭教育政策が進められている現代において、その課題を考えていくためにも、「母の講座」をとりあげ、家庭教育政策とその実態の関係史をみていくことは重要だと認識している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
資料の収集については当初の計画通りに、順調に進められた。週に一度は奈良女子大学附属図書館へ通い、資料閲覧と資料の取捨選択に時間を費やすことができたため、資料全体で何を語ることができるのか、おおむねの予測を立てることができた。ただ、その資料そのものの分析をもう少し深める必要があるので、来年度は資料の分析も引き続き行っていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度の前半は、収集した奈良女子大学付属図書館所蔵の「母の講座」に関連する資料(行政文書の写し、会議録、受講者からの手紙など未刊行の文書史料)をさらに詳細に分析し、口頭発表の準備を行っていく。奈良女子高等師範学校による「母の講座」の実態について、これまでほとんど詳細に分析されてこなかったため、本資料を歴史的文脈の中でどう位置付けていくのかは非常に重要であり、慎重に行わなければならない。 分析の手法としては受講者の属性(職業や既婚か独身かなど)、講座内容、受講者の受け止め方などの実態を丁寧に検討し、一覧表を作成しながら奈良女子高等師範学校の特徴についてとらえていく。つぎに、奈良女子高等師範学校の開催した「母の講座」と他府県で開催されていた「母の講座」「婦人講座」との相違点を検討していく。 また、本年度の後半は、12月の学会(幼児教育史学会大会)での口頭発表の準備(配布資料の厳選、パワーポイントの作成)に取りかかる。そして、口頭発表を行い、様々な研究者と討論し、研究の質を高めていく。この口頭発表の後には、研究の不十分であった点を補足修正しながら、論文の執筆作業に取り組む。その際、不足した資料があれば国立国会図書館などへ向かい、資料調査を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費としては書籍の購入を主とし、家庭教育政策史に関連する1930年代の雑誌文献(復刻版や古書)の購入に使わせていただく予定である。また、今年は幼児教育史学会大会(於 青山学院短期大学部)で発表するため、そこへ向かう旅費にも使わせていただく。そのほか収集資料に不足が生じているときは、再度国会図書館などへ向かうため、これについても旅費として研究費を使わせていただきたい。
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