研究課題/領域番号 |
24730692
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
椋木 香子 宮崎大学, 教育文化学部, 准教授 (00520230)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | シンガポール / イギリス |
研究概要 |
本研究の目的は、幼児教育・保育における道徳性発達について社会道徳的雰囲気の確立という観点から分析し、我が国の社会状況・歴史的背景に即したカリキュラムや指導方法のプログラムを、保育現場と協働して開発することである。そのため平成24年度は、国内外の道徳性育成に関する理論を整理しつつ、実践事例の観察・分析視点策定のための予備調査を協力園2か所で実施した。 前者については、Rheta Da Vries & Betty Zan(1994)の研究を中心に、ピアジェ理論とコールバーグ理論の整理を行っている。特に、ピアジェは後期の研究において、知的・社会的・道徳的・情緒的発達が分かちがたく結びついていることを強調している。この点に注目して、海外で集団遊びや認知発達に関する研究が行われていることは、本研究の仮説を支持するものだと考えられる。 後者について平成24年度は、めいつ保育園(宮崎県)の0・1歳、2歳、3・4歳、5歳の各クラス、及び立正幼稚園(宮崎県)の3歳児クラスをそれぞれ2回、合計10回の観察調査を実施した。どちらの園でも9時半から12時半までの幼児の生活を観察し、午後、担当保育者や園長にインタビューを行った。食事や着脱衣などの生活習慣の確立と遊びが子どもの認知発達に影響を与えていると考えられる。保育園での観察から、生活習慣となっているものは、各年齢の発達の特徴よりも難しい課題でも実施できるが、生活習慣になっていないものは逆に易しい課題でも実施が難しいなどの傾向が見られた。また、保育園と幼稚園の実践の比較からは、保育者の普段の言葉がけの仕方と遊びの内容・時間配分によって違いがあるのではないかという示唆が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成24年度10月1日に、宮崎学園短期大学から宮崎大学に所属が変更した。それに伴って、講義準備や調査日程の変更が必要となり、当初予定していた集団づくり実践を行っている保育園での調査の時間が確保できなかった。また、事務手続き上の問題で、データ整理のための人員も確保できず、撮影したビデオからの詳細な記録作成と分析のための時間もうまく確保できなかった。海外の研究協力者との連絡はできているが、研究内容についての詳細な協議がまだ進んでいない。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、めいつ保育園で各クラス4回の計20回、立正幼稚園では3歳児クラス6回、南方保育園(宮崎県)で3歳児、4・5歳児クラス各2回の計4回の調査を計画している。めいつ保育園と立正幼稚園では積み木遊びにおける子どもの遊びの様子・人間関係の変化の観察から、南方保育園では集団づくり、特に話し合い活動の分析から、子どもの道徳性にかかわる認知的要素の抽出のための分析を行う。 海外の実践との比較については、イギリス・シンガポールでの現地調査を平成25年度・平成26年年度で各1回ずつを計画していたが、国内の園でのアクション・リサーチに重点を置くこととし、現地調査は2年間でそれぞれ1度ずつ行い、文献研究やインターネット・メール会議等での協議、国際学会などの場を利用した研究会で補完することとする。 遊びの分析や子どもの様子の分析に関しては、それぞれの専門にかかわる研究協力者を増やし、遊びの指導などへも研究を発展させながら進めていく計画である。 データ整理が遅れているので、人員を増やして対応する予定である。また、協力園のご厚意により、当初の計画よりも多くの事例観察が可能となったため、一つの事例に対する分析手続きを当初計画していたよりも簡素化し、すぐに協力園にフィードバックできるよう工夫する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品費としては、実践記録作成用のノートパソコン、関連図書、調査用遊具の購入を考えている。国内旅費としては、調査、2つの学会参加、研究協力者打ち合わせ、国外旅費としてはシンガポールへの調査旅費、人件費・謝金としては、データ整理、専門知識の提供、その他として学会参加費を計画している。
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