研究課題/領域番号 |
24730695
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
杉田 かおり 筑波大学, 人間系, 特任研究員 (40616843)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 教育学 / 教育政策 / 連合王国 / シティズンシップ |
研究概要 |
連合王国を構成する4つの地域におけるシティズンシップ教育政策・実践の共有化の動向について明らかにするため、平成24年度はイングランド及びウェールズに焦点をあてた調査研究を行った。 Five Nations Network(以下、FNN)の年次会合は、参加に制限が設けられており、実際に会合に参加することはできなかった。しかし現地調査においてFNNに参加している諸組織の中心人物にインタビューを行い、FNNの取り組みの現状を把握することができた。年度当初はスコットランドでの調査を計画していたが、事前の調整の結果、イングランドとウェールズに焦点をあてることになった。 イングランドにおいては、近年の政権交代との関連を踏まえたシティズンシップ教育政策の動向を把握することができた。現在、カリキュラム改訂が進行中であり、シティズンシップ教育を取り巻く状況は大きく変化しつつある。さらに、FNNの組織の活動状況についても情報を得ることができた。一般化するのは少し性急であるが、それぞれの地域における実践の共有については、特に違和感をもっていない様子が伺えた。また、FNNは当初連合王国の4つの地域のみが参加していたが、途中からアイルランドが加入するようになった。その経緯についても情報を得ることができた。Five Nationsという5つの地域を包含する枠組みは、連合王国という枠組みを相対化するものであり、アイルランド加入の背景について継続して調査をする必要がある。 またウェールズでは、イングランドとは異なる視点からシティズンシップ教育が実践されている様子が伺えた。連合王国内の分権化が進んでいることもあり、ウェールズの独自性が模索されているようである。ウェールズにおける教育政策については、政策立案から実施に至るまでのプロセスについて、さらなる情報が必要となることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
連合王国を構成する4つの地域におけるシティズンシップ教育政策・実践の共有化が主たるテーマであり、Five Nations Network(以下、FNN)の活動を手がかりとして、それぞれの地域における取り組みに関する基礎的情報を収集し、関連を見出そうとしているところである。 当初、1年目はスコットランドを主たる調査対象とする予定であったが、事前の調整により、イングランド及びウェールズに焦点をあてることになった。調査対象を変更したものの、FNNに関する情報を得るという点では大きな成果があった。特に、FNNの運営を担当しているイングランドのAssociation for Citizenship Teachingの中心人物に話を伺うことができ、FNNの活動について理解を深めることができた。また、アイルランド加入の背景についても情報を得た。アイルランドを含めた分析を行うことによって、シティズンシップ教育政策・実践の共有化についてより多元的な視点で把握できる可能性が出てきた。 ただし、イングランドについてはシティズンシップ教育の実践を位置づける教育政策及びそのプロセスについて大枠を把握しているものの、ウェールズについては必要となる情報がまだまだ不足している。ウェールズの教育政策に関する日本語の先行研究は非常に少なく、基礎的な情報をまとめる作業が必要となる。このことは、今後調査を進めるスコットランド、北アイルランド、アイルランドについても該当することが見込まれる。シティズンシップ教育政策・実践に焦点をあてつつも、それを支える枠組みに関する情報を整理していく必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、北アイルランド及びアイルランドのシティズンシップ教育政策・実践に焦点をあてる。アイルランド島に存在する、これら2つの地域における政策・実践には、独自の関連がみいだせるのではないかと考える。 現地調査では、FNNに参加している北アイルランドのシティズンシップ教育推進組織の中心人物にコンタクトを取り、政策・実践の共有化に関する認識について調査する。連合王国という枠組みをどの程度重視しているのか、北アイルランドの独自性をどこに見出しているのか、アイルランドとは政策・実践面でどのような関係を構築しているのかが中心的な問いとなる。また、教育政策策定にかかるプロセス及び法制度にかかる基礎的資料を収集する。北アイルランドにおける調査は、連合王国とアイルランドとの関係を整理する上でも重要である。同時にアイルランドでも調査を行い、連合王国との関係、北アイルランドとの関係について、関係者へのインタビューを行う予定である。 さらに、連合王国(及びアイルランド)における取り組みが、ヨーロッパレベルでどのように位置づけられているのかを把握するために、ヨーロッパにおけるシティズンシップ教育に関する会合に出席する。ヨーロッパという視点を設定することによって、これらの地域の政策・実践の特徴をより浮き彫りにすることができると考える。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度の研究費は主として旅費に用いる。今年度は、①「ヨーロッパにおける子どものアイデンティティとシティズンシップ(Children's Identity & Citizenship European Association: CiCea)」が開催する会合、及び②北アイルランド及びアイルランドでの現地調査を予定している。 ①の組織は、1998年から実施されている欧州委員会のエラスムス学術ネットワーク計画が発展したものである。この会合に参加することによって、ヨーロッパレベルでのシティズンシップ教育の推進という潮流の中で、連合王国構成地域の取り組みを位置づける手がかりを得ることができると考える。また、②の北アイルランド及びアイルランドでの調査においては、研究資料の収集も行う。各種の研究資料購入にあたっては、物品費を計上する。さらに、これらの調査の結果を国内外で発表するにあたり、英文校閲にかかる費用を計上することになる。
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