連合王国を構成する4つの地域(及びアイルランド)におけるシティズンシップ教育政策・実践の共有化の動向を明らかにするため、平成26年度は、①各地域間のネットワーク化の状況、及び②北アイルランドの動向に焦点をあてた調査研究を行った。 ①については、Five Nations Network(FNN)の年次会合に参加し、その取り組みについて情報を得ることができた。その際、それぞれの地域におけるシティズンシップ教育の政策・実践がどのように共有されているのかに注目した。その結果、各地域の問題状況が異なり、個別の文脈が存在することを踏まえつつ、若者の政治参加に向けた取り組みが模索されていることがわかった。FNNは、それぞれの地域における政策・実践の収斂をもたらすものではなく、よりよい実践(Good Practice)の共有という側面が強いことが明らかとなった。 ②については、北アイルランドのシティズンシップ教育について、特に「ネイション」の位置づけに着目して調査を行った。北アイルランドは、アイルランドと連合王国(ブリテン)という二つのネイションの狭間にあって、どのようなシティズンシップを構築するのかという難しい問題に直面していた。北アイルランドの呼称についても「Northern Ireland」や「North of Ireland」という表記が使われており、独自の立ち位置を模索していることが明らかとなった。
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