研究課題/領域番号 |
24730699
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研究機関 | 上越教育大学 |
研究代表者 |
井本 佳宏 上越教育大学, 学校教育研究科(研究院), 准教授 (10451501)
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キーワード | 分岐型学校体系 / 中等教育学校 / 社会システム理論 / 旧東ドイツ / 二分岐型中等学校制度 / ゲマインシャフツシューレ |
研究概要 |
本研究では、中等教育制度再編に関する日独比較研究を通じて、ポスト単線型の学校体系モデルを構築することを目指している。当初、平成25年度は、旧東ドイツ地域における二分岐型中等学校制度の特質を解明すること、及び旧西ドイツ地域における二分岐型中等学校制度の特質を解明することを計画していたが、研究の進捗にともない平成24年度終了時点において研究計画の必要な見直しを行い、改めて①旧東ドイツ地域における二分岐型中等学校制度の特質の解明、及び②旧東ドイツ地域と日本との二分岐型中等学校制度の比較分析を行うこととした。 ①については、平成24年度に進めた研究の結果、初等‐中等教育一貫での制度改革についても追加で調査研究する必要が出てきたため、平成25年度はザクセン州の事例についての追加調査の他、テューリンゲン州のゲマインシャフツシューレ制度の実態調査と制度導入過程の研究を行った。そこから、ドイツにおける近年の二分岐型中等学校制度をめぐる改革状況が、中等段階にとどまらず、初等段階まで含めた総合的な学校制度改革へと波及していること、その背景には生徒数減少の下での学校配置の再編を巡る問題があること、また、その中でもテューリンゲン州における改革の実施過程は、個別学校のこれまでの実践を前提とした下からの改革である点に特徴があることを指摘した。 ②については、システム論的アプローチにより、教育システムにおける経歴メディアのインフレ/デフレという視点から分析を行い、インフレからデフレへの転換という環境の下で、教育システムが作動を続けるのに二分岐型制度が有利に働いていることを指摘した。 以上のとおり、平成25年度においては、前年度の成果を踏まえて、次年度における最終的な研究のまとめに向けて、着実に研究を進めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は、前年度に進めた研究成果を踏まえて、研究計画の見直しを行った。そこで、①旧東ドイツ地域における二分岐型中等学校制度の特質の解明、及び②旧東ドイツ地域と日本との二分岐型中等学校制度の比較分析を行うこととした。その結果、もともと25年度に行う計画であった、旧西ドイツ地域の二分岐型中等学校制度の特質の解明については次年度に先送りすることとなった。その一方で、26年度に計画していた旧東ドイツ地域と日本との比較分析については前倒しして実施する計画とした。 見直しにより新たに立てた研究計画については順調に進捗させることができており、研究計画最終年度の26年度には最終的な研究目的を達成できる見込みである。 以上の理由により、研究の進捗状況については、「おおむね順調に進展している」と評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度が研究計画の最終年度であり、今後1年間で最終的な目標である、ポスト単線型学校体系のモデルの提示にまで到達する必要がある。現在のところ順調に研究は進んでおり、特に大幅な研究計画の見直しは必要ないものと判断している。 次年度においては、①旧西ドイツ地域の二分岐型中等学校制度の特質の解明、②ポスト単線型としての日本及び旧東ドイツ地域の二分岐型中等学校制度とプレ単線型としての旧西ドイツ地域の二分岐型中等学校制度の比較分析を行い、ポスト単線型制度の特質を抽出した上で、モデル化を進める計画である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度に支出を予定した研究費のうち、2千円余りが次年度に繰り越すこととなった。前年度からの繰り越しが2万円余りあったことに加え、ドイツでの関係諸機関への訪問調査に際し当初予定していた通訳の依頼を取りやめたことなどにより経費の節減が可能になったためである。 平成26年度は消費税の増税のほか、円安傾向の継続など、研究に必要な経費が当初の予定よりもかさむ可能性が高い。経費節減のための工夫を行うとともに、繰り越した研究費を活用することで研究の遂行に支障をきたさないようにする計画である。
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