本研究では、中等教育制度再編に関する日独比較研究を通じて、ポスト単線型の学校体系モデルの構築を目指した。研究計画上の最終年度である平成26年度は、①平成24年度、25年度の研究成果の点検、その結果不備や不足があれば分析枠組みの見直し、資料の補充、再分析による修正を行うこと、②各成果をもとに日独中等教育制度の比較分析を行い、より一般化した形でポスト単線型学校体系の特徴を抽出し、さらに、本研究の最終段階として、抽出された特徴からポスト単線型学校体系のモデルを構築することを計画していた。 ①については、前年度までに調査未実施であった旧西ドイツ地域における中等学校制度再編状況についての情報を得るため、シュレスヴィヒ‐ホルシュタイン州およびハンブルク市において、現地中等学校への訪問調査を実施した。その結果、中等学校制度上の非ギムナジウム校の位置づけの州による多様性を確認した。 ②については、システム論的アプローチによって日独の二分岐型中等学校制度の比較分析を行った。そこから、ポスト単線型としての二分岐型中等学校制度が、システム論的に見た場合、プレ単線型としての複線型制度よりも単線型制度との共通性が高いことを明らかにした。つまり、中等学校制度の二分岐型化はプレ単線型としての複線型への退行ではなく、教育のユニバーサル化が高等教育にまで及ぶほど進行した状況下において、単線型学校体系が果たしてきた選別性をも含んだ機能の維持が図られる中で、中等教育段階が二分岐型化したものと理解することができる。 以上のとおり、平成27年度においては研究計画に基づき着実に研究を進め、これまでの研究成果を最終的な結論へとまとめあげることができた。
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