研究課題/領域番号 |
24730712
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
菅澤 貴之 龍谷大学, 矯正・保護総合センター, 研究員 (30551999)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 高校中退 / 職業経歴 |
研究概要 |
本研究の目的は、計量分析(定量的分析)とインタビュー調査(定性的分析)を組み合わせた実証分析を行うことで、依然として不明な点が数多く残されている高校中退者のキャリア形成の実態を解明することにある。 研究初年度である平成24年度は、2年目以降に行う実証分析の指針を得るために、国内外の高校中退(School Dropout)に関する文献を狩猟し、研究動向を整理・把握することを目指した。文献レビューは、学術的な文献から雑誌・新聞記事など一般的な文献まで幅広く行った。 文献レビューの結果、我が国では、米国と比較して高校中退者に関する実証研究は極めて少なく、さらに、そうした先行研究の多くは、若年労働市場が逼迫した2000年代以降に集中していることが判明した。加えて、これらの研究は、若年層のみを対象とした調査データを用いて分析を行っている点が共通している。そのため、高度経済成長期からバブル景気時における高校中退者の就労状況については未解明であることが確認できた。 また、本研究の計量分析では、高校中退者の職業への移行の特徴を捉えるために、高卒者との比較対照分析を予定している。ただし、高校中退者の出身階層や学力の分布には、偏り(バイアス)が見られる可能性が高い。そこで、この問題に対処するため、社会統計学や社会疫学に関する文献を狩猟し、最新の分析手法を習得するように努めた。その結果、バイアスを除去するためには、ケースコントロール研究法や傾向スコアマッチング法という手法が有効であることが確認できた。 平成25年度は、これらの知見をもとに、大規模社会調査データを用いて計量分析を行い、戦後日本社会における高校中退者のキャリアの軌跡を描きだすこと課題とする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では、平成24年度は、国内外の文献を収集し、高校中退者の処遇に把握することを主たる目的としていた。国内の研究動向については、教育社会学のみならず労働経済学、家族社会学、社会階層論まで幅広く文献を収集し検討することができた。しかしながら、国外(欧米)文献に関しては、想定していたよりも資料を収集することができなかった。 このため、交付申請書に記載した「研究目的」に照らし合わせると、「やや遅れている」と評価できる。ただし、欧米文献レビューについては、平成25年度以降も、継続的に行っていく。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画が行き詰ることのないように、下半期(平成25年10月)以降は、学会報告・研究会等の場で研究成果を積極的に発信していく。他の研究者との議論を行なうことで、あるいは、インタビュー調査対象者や教育関係者にデータと考察を提示し助言を得ることで、より確固とした考察を導出することが可能となる。
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次年度の研究費の使用計画 |
初年度(平成24年度)のレビュー作業で得られた知見ならびに習得した統計技法を用いて、JGSS、SSM等の大規模社会調査データに基づいた計量分析を行ない、高校中退者のキャリアパターンを探る。下半期からは、研究成果について学会報告を行い、分析モデルと解釈図式のリアリティや着想について幅広いコメントを集める。
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