本研究の目的は、未解明な点が数多く残されている高校中退者のキャリア形成の実態について、計量的アプローチ(定量的分析)と質的アプローチ(定性的分析)を併用した「混交研究法」の採用により多角的な視座から解き明かすことにある。 補助期間の最終年度である平成27年度は、昨年度から実施している高校中退経験者に対するインタビュー調査を継続した。昨年度の計画では、平成27年度はインタビュー調査の対象者を近畿地区在住者以外にも拡張する予定であった。しかしながら、勤務校での校務等の関係から遠方への出張が困難であるため、平成27年度もインタビュー対象を近畿地区在住者に限定した。そこで、地域は限定されたものの都市部のみならず地方部に居住する者もインタビューの対象に加えるようにつとめた。さらに、昨年度の調査協力者の年齢は若年層に限られたため、40代前半から50代後半までの中高年層にも範囲を拡大し、計5名から調査協力を得ることができた。 これらのインタビュー調査の結果、バブル経済崩壊以降の地域社会(経済)の変容が高校中退経験者のキャリア形成に影響を及ぼしていることが判明した。そこで、地域社会学、地域経済学を中心に文献を狩猟し、論点把握につとめた。 科研費による本研究への補助は平成27年度をもって終了するが、今後も、補助期間に得られた知見を基盤として、高校中退者のみならず、大学中退者などを含めた中途退学経験者のキャリア形成に関する実証研究へと深化させていくこととする。
|